たこ焼き
近所の商店街のたこ焼き屋は、6個で100円とかなり安かった。それにイカ焼きも1枚100円で、家からは少しばかり遠いが小学時代の俺が言う外食とは、この店で買ったたこ焼きかイカ焼きの事だった。
ある日の事、非常にお腹が空いた俺は弟を連れてたこ焼き屋に向かった。
「何食べる?」
と聞くが、売っているのはたこ焼きかイカ焼き、ソフトクリームかジュースしかない。
「たこ焼きとコーラ♪」
「イカ焼きとコーラ♪」
こうして辿り着いたたこ焼き屋では、なんと回転焼き1個80円が新発売されていた。味はアンコしかなかったが、始めて見る食べ物に俺達の目は釘付けである。それでもイカ焼きとたこ焼きを買わなければならない。
「あ、あの。イカ焼きありますか?」
回転焼きを眺めながら店のオッチャンに確認すると、威勢の良い声で「あるよー」との返事。なら、イカ焼きと、たこ焼き100円分と、コーラ2杯と、回転焼きを1個買ってみよう。
頭の中で注文の品を復唱する。
イカ焼きとたこ焼き100円分とコーラ2杯と回転焼き…回転焼き!
「たこ焼き100個下さい!」
あれ?
「なんでやねーん」
軽く笑う弟がツッコミを入れてくれた。




