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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 高学年

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可愛げ

 可愛げとはなんなのだろうか。

 可愛らしい様子や仕草であって、決して容姿の問題ではない筈だし、だいたいの子供には可愛らしさはあるだろう。

 両親に度々言われていた言葉がある。

 「サチは私に、ケンはお父さんに懐いてる。お前は?」

 「サチはお母さんに、ケンは俺に懐いてる。お前は?」

 どちらかを選べと言われていた事は分かっていたのだが、当時の俺は学校でも家でも滅多な事がない限りは喋らない子供で、人の顔色ばかりを伺う癖を持った子供だった。

 そしてこう思っていた。

 俺が答えない限り母は出て行かないんじゃないだろうか?

 だから「お前は?」と聞かれた時は黙って、ジッと顔を見ていた。

 目付きのあまり良くない俺が見ている訳だから、見られている方からしてみれば睨んでいるように見えていたんだろう、最終的には「なに見てんねん」と怒られた。

 いよいよ両親の別居が確実になってきた時、再び母に尋ねられた。

 それでも俺はまだ、答えなければ良いんだ。と信じていたので、黙ったまま母の顔を見上げた。

 「なんか言いや!」

 見ているだけで怒り、どこか絶望したように溜息を吐いた母は、俺から視線を外して背を向けた。

 前に回り込んで顔を見続ける。そんな事が出来る程無邪気ではなかった俺は、その母の背中を見て、何故だか直感した。

 母は姉だけを連れて出て行くのだろう。

 その直感は、背を向けたままの母が発した、

 「お前には可愛げがない」

 という言葉で確信に変わった。

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