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SHORTで、俺。  作者: SIN
幼稚園 年少組

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大きな園児

 サクラ組で1番背の高い園児は、スミレ組の1番背の高い園児よりもかなり背が低かった。

 サクラ組が全体的にミニサイズだったと言う訳ではなく、スミレ組のその園児が飛び抜けて大きかったのだ。

 大袈裟な話ではなく、確実に俺の1,5倍はあった。

 他の園児よりも当然力も強いので、本気を出せばブランコの順番待ちなどしなくとも他の園児は喜んで順番を譲っただろう。

 しかし、ソイツはそんな事など1度もしなかったし、ブランコの順番待ちすらせずに教室でお絵かきをしていた。

 日向に咲く雑草に水遣りをしたりする心の優しい園児だったのだ。

 ある日の事、登園すると教室に遊ぶ道具がまだ準備されておらず、何人かの園児は砂場に向かった。

 ナチュラルにボッチな俺はその輪に入る事が出来ず、教室内の日当たりの良い場所でノンビリしていた。そんな俺のいる教室の中に、お絵かきをしようとしてやってきた大きな園児が1人。

 「まだ準備出来てへんのよ~。待っててね」

 先生は言いながら3人掛け程の長机を並べていた。

 長机と言っても園児用の小さな物なので大人ならば片手でも持ち運び可能だっただろう。しかし、それが園児となると2人がかりで運ばなければならない筈だった。

 大きな園児は無言で長机の真ん中を両手で掴み上げると、重たそうにしながらも先生の所に運び始めたのだ。

 先生は「危ないから」とその行動を止めさせようとしているが、園児は聞かない。早くお絵かきがしたかったのだろう。

 2つ目の長机を運ぼうとした園児に俺は近付き、そして見上げてみた。不思議そうな顔で見下ろされる。

 「一緒にやろ」

 大きな園児、自分から進んで長机を運び始める力自慢。本当なら声をかけなくても良かったのかも知れない。だけど、それでも重たそうに運ぶ姿を見れば手伝おうという気分になったのだ。

 心優しい大きな女児は俺の申し出を頷いて受け入れ、危ないから運ばなくて良いと言う先生の指示に従った。

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