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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 高学年

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158/485

音楽会

 小学5年生の音楽会。

 演目は鶴の恩返しで、曲と曲の間に若者と鶴の会話が入る。その台詞は生徒と同じ箇所だけあった。

 1人1台詞。

 どんな歌詞だったのか、どんな曲調だったのかは全く覚えていないが、その台詞を決める為の学級会議の事は鮮明に覚えている。

 あがり症の俺はとにかく短い言葉を選んで積極的に挙手をした。

 「この台詞言いたい人~」

 そう担任が言って、言いたい生徒が挙手をする。複数いた場合はジャンケン。そんな感じの決め方だった。

 短い台詞が一通り決まってしまい、ジャンケンに負け続けた俺は文字数のみで台詞を選んだ。

 その台詞がどんな意味なのか、そんな事など関係なく、ただ只管に短い言葉を。

 文字数で選んだ台詞は、若い娘に変身した後の鶴の台詞だった。

 あがり症で、恥ずかしくないようにと短い言葉を選んだ筈が、俺はこの曲の中で1番恥ずかしいだろう台詞を選んでしまっていた。

 「私を嫁にしてください」

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