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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 高学年

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100物語 (ホラー要素なし)

 夏休み中にある登校日、久しぶりにクラスの皆が顔を合わせた。

 テレビをつけると恐怖体験などの特集があるこの時期、何人かがこう言った。

 「怪談やろう!100物語やろうや!」

 こうして100物語をする事についての学級会議が真面目に行われた。

 蝋燭を100本用意出来るのか?から始まり、その蝋燭に火を灯すタイミングの話へ。

 「初めから火ぃつけてたら、最後の話の頃には燃え尽きてんちゃうの?」

 「それまでに終わらせたらえぇねん」

 「めっちゃ早口にせなあかんやん」

 本当に全員大真面目に100物語について考えていた。その中でも1人の女子は、

 「火ぃ勝手に使ってたら怒られるやん」

 と、恐ろしく現実的な事を言った。

 こうして散々話し合った結果、全員1個ずつ懐中電灯を持って集合、と言う事に決まった。1話終わる毎に正の字をつけて行く、と言う事も決まり、後は何時何処で開催するのか?と言う所だけになった。

 「夜にどっかで集まる?」

 夜に学校に集合と言うわけにも行かないし、誰かの家で、と言うにも人数が多いだろう。それに家を抜け出すのは難しい。

 一気に暗礁に乗り上げたかと思った次の瞬間、またあの現実的な女子が意見を出した。

 「先生に言うて視聴覚室借りて今からしようや」

 先生に贔屓にされている生徒数名で頼んだからなのか、案外アッサリと視聴覚室を借りる事ができ、黒いカーテンを閉めて電気を消して。いざ始めようとすると懐中電灯がない事に気付いた。

 再び贔屓されている生徒数名が先生に頼みに向かい、戻って来ると3個の懐中電灯を持っていた。

 こうして始まった100物語。

 学校の七不思議から始まり、テレビで見た事があるような心霊話、明らかに嘘だと思われる作り話が続き、着実に数を増やしていく怖い話。しかし60話を越える頃には皆完全に心霊系の話が底を付き、心霊ではない怖い話が何話か続いた。そんな苦し紛れに話数を稼いでも結局は70話ほどで100物語は打ち切りとなった。

 本来なら100話目を終えて全部の明かりが消えた後に何かが起こると言うのだが、70何話目が終わって懐中電灯を消した後、なにが起こる訳でもなく沈黙が少し続いた。

 きっと皆このままじゃ終われないと感じていたんだと思う。それでもなにも起きないので仕方なく視聴覚室の電気をつけた。その時、俺の前に座っていた男子が大袈裟に驚きながらこう言った。

 「おい!木場、お前初めからおったか!?」

 俺は無理矢理100物語のオチに使われたのだった。

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