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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 高学年

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138/485

蘇生ごっこ (※)

 学校でかなり危険な遊びが流行っていた。

 今ならばニュースになっても可笑しくないような遊びが至って普通に行われていた。

 その名も「蘇生遊び」。

 読んで字の如く、蘇生する事を目的とした危険極まりない遊びだ。とは言うものの、大体はフラッとした時点で終わるというイージーモードではあった。

 俺は、そんな遊びが流行っている時期に軽くイジメを受けていた生徒。当然多少フラッとした位では手を離してはもらえず、ガクンと倒れ込む所までいかなければならない。そしてそれが休憩時間毎に行われていた。

 担任は気付いていた筈なのだが、何も言わない。その遊びの一部始終を目撃していた時ですら何も言わなかった。

 周りの贔屓される側の生徒達が

 「遊んでるだけ~」

 と、満面の笑顔で言うものだから、大した事ではないと判断されたようだった。

 米神から直接脈を感じるほど強く首を絞めていて、それが遊びだと?

 息は出来るのに徐々に苦しくなる恐怖を遊びだと?

 耳が遠くなって頭が痛んで、倒れ込んでいる事を遊びだと!?

 そんな盛り上がりを見せていた「蘇生ごっこ」だが、ブームが過ぎるのは結構早く、ある事を切欠に徐々に廃れていった。

 その日、贔屓にされる側の生徒がいつものように俺の首を両手でグッと絞めてきた。

 周りをグルリと取り囲まれると、見えるのは楽しそうな笑顔ばかり。

 遊びなのだ、これは本当に生き返る事を目的とした遊び。生き返るのだから、軽く死ななければならない。生き返る所を見せなければ終われない。だったら、それは別に俺じゃなくても良いんじゃないのか?

 何故そう思って行動にうつしたのかは分からないが、俺は目の前にいる贔屓されている生徒の首を掴んでしまった。

 その結果、生徒は泣き叫んだ。

 贔屓にされている生徒が慌てて担任を呼びに行き、駆けつけた担任は泣いている生徒とその周りにいる贔屓にされている生徒にのみ事情を聞く。

 生徒が口々にしているのは「木場君が首を絞めた」である。

 何も間違ってはいないが、先に締めてきたのは向こうなのに、誰もその説明をしない。補足として言葉を付け加えようとしても、誰も俺の言葉なんか聞かないし、求めていないので、結局俺1人が反省文を書かされる事になった。それだけじゃなく、生徒に謝れと言うのだ。

 先にやって来たくせに、泣いた者勝ちなのか?いや、贔屓にされた者勝ちだ。

 俺の首にある指の跡を何だと思っているのだろう?ただの遊び。と子供が言ったとしても、受けている側の子供の首に跡が残っていたら、普通は注意位するんじゃないのか?

 仕方ない。

 贔屓にされなかった自分が悪いのだ。

 「……ゴメン」

 出来る限り思いっきり睨みながら、ただの単語を口にした。

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