怒り方
親父は怒ると大声を上げる。
何かあったらその瞬間に「ゴラァ!」と怒鳴るので、どうして怒られたのかの理由が明確に分かった。
母はヒステリックだったので、怒ると何をするのか予測不可能。
少しイライラを充電させてから発散させると言う合わせ技もあったので、何に対して怒っているのかが分かり難い。
祖母は延々と小言を言い続けるスタイル。
かなり沸点は低く、ブツブツと常に何か文句を言っていた。
そんな大人達に囲まれて育った俺達。
姉の沸点の低さは祖母譲りで、その場で怒りを消化するのは親父に似た。それでも子供の頃の姉はまだ耐える事を知っていた筈で、兄弟の中で1番可愛げがあると母や祖母、そして田舎のバァちゃんにも好かれていた。
弟の沸点も祖母に似て低く、「あぁぁ!」との奇声を上げるので親父にも似ているのかも知れない。
姉と同じではあるが、怒りの対象が他人に行き難いという所で大きく違う。
例えば丸いエンピツを机の上に置く、エンピツはコロコロと床に落ちる。それをまた拾って机に、またエンピツは転がって床に。少々荒っぽくエンピツを拾い、バンッと机に置く。そして、エンピツは転がり、床へ。
「あぁぁぁ!!」
俺の沸点は低くはないし、ヒステリックでもないので誰とも似ていない。そして、怒りの矛先は他人にも、物にも向かい難い。




