格付け
小学校の5.6年の担任は、物凄い贔屓をする先生だった。
頭が良くて、運動が出来て。
親が役員とか、ママさんバレーとか、そう言った生徒は漏れなく贔屓された。
頭が良くても運動神経が悪いと駄目で、頭と運動が出来ても容姿がいまいちなら駄目で。
逆に頭が悪くて運動が出来なくとも、容姿が物凄く良ければ贔屓の対象となっていた。
クラスには贔屓されない側の生徒と、贔屓される側の生徒との間に明確な線引きがされ、何をするにしたって贔屓されている生徒が中心になって動いていた。
お楽しみ会などでは、贔屓されない側の生徒は完全に蚊帳の外。体育の授業なんかでは特にそれを感じる事が出来た。
贔屓されていない運動神経の悪い生徒に対して、贔屓されている運動神経の良い生徒が、
「走るの遅い」
と言えば、担任は早く走れない生徒を馬鹿にし、
贔屓されている運動神経の悪い生徒に対して、贔屓されていない運動神経の良い生徒が、
「走るの遅い」
などと言えば、反省文を書かされる羽目になる。もちろん、
「そんな事を言うなんて!」
とか怒られてから。
そんな不当な扱いを受けるうち、贔屓されない生徒は自分達で新しい上下関係を作ろうとした。
俺はあいつより優れている。
俺はあいつよりもマシだ。
こうして俺は「贔屓されない側の生徒」より下の存在になるのだった。




