袋小路
それは晴れた日の事だった。
特に何の予定もなく自転車を走らせた俺は、見た事のない道を走り、爽快に道に迷い、それでも何故か自信たっぷりに進んでいた。
まるで目的地があるかのように堂々と進み、なんとなく、本当に何となく細い道に入ってグネグネと角を曲がって突き進んだ。
結果、袋小路に辿り付いた訳なのだが少し様子が変で、行き成り金網が張られていて、その向こう側には雑草が生い茂る空き地が広がっていた。
向こう側が見えないほどの広い草原。
金網を上ってみようかと見上げてみると、必要以上に高く金網があって断念。ならばと自転車を降りて金網に近付いて草原を見渡して見えたもの。
何本かの卒塔婆と、幾つかの石。
何故だかゾゾッとした俺はその場を離れたのだが、後日、少し失礼だっただろうか?と思えて再び行ってみる事にした。
晴れた日の事。
再びあの場所に、と言う目的を持って自転車を走らせた俺は、見覚えのある道を選んで突き進み、確実に目的地に近付いていた。
そう、確かここを曲がった。
そうそう、ここの自動販売機でジュースを買ったんだ。
ここを曲がれば!
袋小路は、存在しなかった。




