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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 中学年

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キーホルダー 男子

 学校に玩具の類を持って行く事は禁止されていた。

 昼休みにトランプをする事すら咎められるほど徹底した「運動場に出て遊べ」と言う教育方針だったのだが、グレーゾーンが存在した。それは、キーホルダー。

 ある日、1人の男子がランドセルにルーレット付キーホルダーをつけてきた。

 玩具が学校にあると言う物珍しさから、その男子の周りにドヤッと集まった生徒達は、順番にルーレットを回して、1番大きな数字を出した者が勝ち。という遊びを始めていた。

 俺はそのルーレットを1度も回せないまま昼休みを迎え、それでも「回したい」とも言い出せず、出来るだけキーホルダーを所持している男子の方を見ないようにしていたのに、その男子は俺の前まで来るとランドセルを背負った背中を見せてきた。

 目の前にはルーレット付のキーホルダー。

 押しても、良いのだろうか?

 本当に?

 恐る恐る手を出し、グッとキーホルダーを握り、小さなボタンを押そうとした瞬間、教室に担任が入ってきた。

 「○○君。玩具持ってきてるらしいやないの!」

 と、男子の名前を呼んで怒りながら。

 男子は慌ててランドセルを隠そうとして、回れ右。

 しかし、キーホルダーは緊張した俺によってかなりしっかりと握られていた為……。

 ブチンッ!

 キーホルダーのチェーンが切れ、ルーレット本体は俺の手の中。

 血の気が引いた。

 どうしよう。

 男子はランドセルを確認してキーホルダーがなくなっている事を確認した後、

 「なんも持ってきてへんで」

 と、担任にランドセルの中身まで見せた。

 可笑しいな、と首を傾げる担任が教室を出るなり、俺の周りにいる生徒から「あーあ」「壊した」「最低」などなどの声がかかる。

 「ごめん……」

 男子は無言でキーホルダーを受け取ると、周りにいる生徒達に見えるようにルーレットを押して、ちゃんと動く状態である事を示してから、

 「ランドセル背負わんでも遊べるようになったわ」

 と、笑ってくれた。

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