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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 中学年

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遠足

 遠足の時は背の順に並び、隣にいる子と目的地に着くまで手を繋ぎっぱなしで歩く事が義務付けられていた。もちろん隊列を乱さずに。

 1年や2年の頃はそのルールに対して特に疑問にも思わなかったのだが、徐々にその可笑しさに気付き始めた。

 車道側を女子が歩くのは可笑しいのではないか?

 こうして3年の時、遠足で車道側を歩くようにしたのだが、担任が横断歩道を渡る度に入れ替わる必要があった。

 身長の低かった俺は当然先頭を歩いており、その先頭者が女子を歩道側にしないようにと歩くものだから、後ろにいる児童も真似をし始め、なんとも紳士的な行列になっていた。

 しかし。担任はその歩き方自体が危険だとして禁止した。

 大人しく歩く事しばらく、今度は手汗が気になり始める。

 これは俺の?それとも?離して手を拭きたいが、離しては駄目と言うルールがあるので離す訳にはいかない。

 「手ぇ痒くなってきたぁ」

 隣からそんな訴えが聞こえてくるので、即急に何か対策を練らなければならなくなった。

 左手を繋いでいる状態だから右手を出すように言って、出された右手を左手で握り、右手を離した。

 お互い離した手を服の裾やらで拭いて、パッと繋ぎなおす。

 とりあえず難は去ったのだが、このままではまた手に汗をかいて繰り返すだけだ。なにか良い方法はないか?

 こうして俺達は新しい手の繋ぎ方を模索し始める。

 色んな繋ぎ方を試した結果、お互いが納得する繋ぎ方を見付けた。それは小指だけ繋げている状態。

 指切りをしている感じの繋ぎ方だ。

 その子とは特に仲も良くなかったので、遠足が終わった後は接点もなく、喋る事もなかった。

 こうして迎えた4年生の遠足。

 俺もその子もろくな成長をしていなかったのか、また1番前だった。

 「はい、手ぇ繋いで」

 担任の合図で普通に手を繋ぐクラスメート達を他所に、俺達は小指を出し合った。

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