トントン
クラスに、とんでもなく仲の良い2人組がいた。
なにをするにも2人一緒で、学校内でも、放課後も常に一緒に遊んでいた。
1人はかなり活発な性格のナミちゃんで、もう1人は控えめな性格のトントン。そして2人は揃って合唱団に所属していた。
そんなある日、担任にトントンが呼び出された。
「また後で~」
「寂しいから早く戻ってきてな~」
そんなやり取りがあってトントンが教室を出て行くや否や、ナミちゃんは横にいた女子に向かって、
「あのデブリン少女、ホンマにイラつくわ」
と、毒を吐いたのだ。
寂しいから早く帰ってこい、と言った相手をデブリン少女とな!?
「声ちっさい癖に合唱団やって、一緒に歌わなアカン私が大変やわ」
毎日ズット一緒にいる分、溜まりに溜まった鬱憤があったのだろう、とにかく吐き出される愚痴は留まる事を知らない。
「ナミ、なんでトントンなん?」
愚痴を聞いていた女子の1人が、何度も繰り返し出てくるトントンと言うあだ名の由来を尋ねた。
「豚ってトンって読むやろ?で、キロの上はトンやん。それで」
ただの悪口をあだ名にしたのか!?
「ただいま~」
トントンが教室に戻ってくると、回りの女子達は普段通りニコニコとし、ナミちゃんも満面の笑顔で、
「トントン遅かったなぁ~寂しかったよぉ、おかえり~」
と。
俺は、笑顔の女子達に恐怖したのだった。




