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勇者の大冒険(打ち切り)   作者: 鹿馬 真馬
13/22

1章 新学期突入! みんな反抗期だーー!!

 「あ、雨が……。」

「降ってきた。」

教室から『回復の杖』を持ってきた健太と夜月。二人は顔を見合わせた。

「傘は」

「ない。」

「近くに人影は」

「ない。」

「つまり帰れそうに」

「ない。」

「って、そんな場合じゃないよな。普通にどうしようか。」

二人が帰るのを渋っていると、背後から声が聞こえる。

「相合傘~~!」

振り返ると、そこには優燈が現れた。彼女は下足室で傘を開いている。

「どう? 私と帰る~?」

彼女の提案に健太はビクッとした。

「いや、遠慮しとき……。」

「仕方ないな~。雨が上がるのを待っててあげる!」

「だから結構で……。」

健太の言葉を遮って夜月が言う。

「ハートが欠けてる。」

「あ! でも、私のハートは残念でしょ?」

「別にいらないし……。」

「でも、ハートよりもいいものあげる~。」

優燈が取り出したのは謎の石版だった。見たこともない文字が、縦に三列、横に二列の合計六文字が彫られていた。金箔の張られたその石板を、どうして彼女が。

「本当にくれるのか?」

「いいよ。」

こうして、彼らは謎の石版を手に入れたのだった。健太は石版を手にして思わず息をつく。

「すげぇ……。こんなもんどこで……。」

「作ったの!」

健太はシーンとした。


 一方その頃。

 尋箭は龍人の家に遊びに来ていた。二人は帰宅部に所属している。

「ん? 雨降ってきたか。」

「これじゃ帰れねえな。今日は泊まりか。」

「おい、勝手に決めんなよ。」

その後二人は黙り込んだ。何もする事がない。雨の音を聞くだけだった。窓からは何事もない平凡な街並みが続いている。住宅街の中にあって、かなり見晴らしのいい場所だから。

 窓に雨が打ち付けて、そのうち流れるようにどしゃ降りになる。曇天の下は色彩が薄れ、灰色の海に、街が沈み込んだ。街灯の光が余計に眩しくなる。

「明日は学校休みだろ!」

尋箭は笑い飛ばした。

「休み、って明日は火曜日だろ?」

龍人があくびをする。

「相変わらずだな。お前は。」

「そうだ! 俺が休めば学校は休みだっ!!」

尋箭は無邪気に笑った。

「また怒られるぞ。」

龍人はそう言い残し、部屋から出て行った。

 彼が向かったのは冷蔵庫の前だった。コップにお茶を注いで、飲み干した。誰も居ない、暗いダイニングの片隅で、うっすら光るのが見えた。龍人は誰かから連絡が来てるのに気づいた。

「誰から……。あいつか。」

龍人はため息をつく。

「読まなくていいか。」

そして、部屋に戻っていった。

「おー、遅かったな。」

「何やってんだよ。」

尋箭はゲームをしてた。龍人も笑うしかなかった。

「人の家のゲームを勝手にするか? ふつー。」

「ここにゲームがあるからだ。」

尋箭は崇高な理念を持った登山家の物まねをして言った。

「あっても遠慮するだろ。ふつー。」

と言いつつ、机の椅子に座って、龍人も画面を見てた。最近では珍しい横スクロールのシューティングゲーム。あっという間に一機減った。龍人は失笑する。

「下手だな!」

「うっせえ!」

尋箭は躍起になって連打する。が、移動し忘れて壁に激突する。

「バカだなー!」

「黙ってろって!!」

イライラした尋箭が見事なプレーを見せる。が、あえなくオールブルーになった。

「接触不良だな。」

龍人は爆笑した。尋箭は激昂した。壁に立てかけてある金属バットを担いで

「素振りしてくる」

と言い残し、ダイニングに向かった。

「仕方ないやつだな。」

龍人はゲーム機のコードをいじる。

「こいつも古いから……。」


           ガシャンっっ!!!


「へ……!」

ダイニングから何か聞こえた。龍人は顔が真っ青になったが、すぐに駆け付けた。

「何してんだっ……!」

電気をつけると、そこには謎の兵士がいたのだ!

「わりぃ、変な奴が来てな!」

尋箭は敵と対峙する。龍人もそれに加わる。

「片付けが忙しそうだ。」

 二人は同時に攻撃を仕掛けたが、敵は回避する。二人は家財に気を付けているのに対し、敵はお構いなしに戦闘するので、家の中が無茶苦茶になった。さらに、雷が鳴ったかと思うと、明かりが消えてしまった。

「停電!?」

暗くなった瞬間、尋箭は床に落ちているいろんなものに足元をすくわれた。そこに、敵の白刃が襲い掛かる。尋箭は咄嗟に体勢を変えたが、剣が尋箭の頬をかすめた。しかし、尋箭は切り返し、金属バットで敵を吹っ飛ばした。敵は窓ガラスを割って、道路に落ちた。

「大丈夫か?」

龍人が声をかけても尋箭は応答しなかった。頬を抑えている手をはなしてみると、何もなかった。龍人はため息をついた。

「ひどい奴だな、停電したし。無茶苦茶にしやがって。」

閃光が走る。音が鳴る。しばらくして明かりが灯る。


        二人は衝撃を受けた


    部屋には何も散らばっていなかったのだ!


 「どうなってんだ?!」

龍人は驚きを隠せずにいるが、尋箭は対照的だった。

「学校に行くぞ。」

「なんでだよ!」

「誰かから連絡来てねえか。」

「来てたが、優燈からだ。」

尋箭は自分のを確認した。健太から来てた。

『敵が来た! 学校にきてくれ!』

「だとよ。」

疑念を持つ龍人と、尋箭は急いで学校に向かった。尋箭は龍人に半年前の出来事を伝えていった。にわかには信じがたいが、そういうこともあるんだと、自分に言い聞かせた龍人。二人が正門前前に着く頃には、すでに、彼らの学校は敵に包囲されていた。

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