物語は突然に
辺り一面が真っ白。霧がかかったように真っ白な空間。そんな不思議な空間に二人の姿があった。
「ちょっと人殺し、してくれない? ていうか皆殺し」
そんなイカれた台詞を吐くのは長い紅髪が印象的なナイスバディーお姉ちゃん。自称神だと。正直意味不明。
「だが断る」
こっちのイケメンボイスで喋るのは今さっき神様(笑)の御前に召喚された俺、黒田黒助。19才でござる。
あーあ、あと一才で大人になれたのになー、俺ってばあんな事故で死ぬとか。はあ。
「へえ、別に断るのは構わないんだけどね」
あれ? 案外マトモ────
「また別の人間ぶっ殺して呼んでくるだけだし」
あっるえー?
俺死んだのコイツのせいなんだー。
よし犯そう。
「ちょっと待て。一旦落ち着こう」
いきなり下半身を持って行かれた。性的な意味では無い。ごっそり刈り取られた。彼女のいつの間にか手にしていた大きな鎌によって。
「大丈夫。今アナタは魂だけの存在なの。よってこーんなことをしても大丈夫よん」
「げっぷ!?」
唇を刈り取られた。え? これ神様なの?
「────!」
「あら、これじゃあ何言ってるか分かんないや」
そうそうだから。せめて唇は返してほしい。
「じゃあ、今から送る世界でちょっと人殺しして……く れ る ? 」
「────!!」
全力で首を左右に振ってやる。
「うふ、無言は肯定の意とみなーす」
おいおいおいおい────
ここらへんで意識が途切れた。
あの女、今度会ったら絶対犯す。