第9話 初任務
車内の空気は最悪だった
というかあえて最悪にした
この女に制裁を下すために
「ガックー椅子蹴るのやめてよ!」
「お前が!嘘を!つかければ!」
「嘘なんかついてないよ!言ってないだけ!」
「同じようなもんだろ!そうやってお前は毎回毎回!」
「なんだよガックーだって手伝ってくれるって言ったじゃん!」
「言ったけど!言ったけど!違うでしょそれとこれは!」
「違うってなに!あの時ドヤ顔で言ってたじゃん「いいぜやってやんよ」って!」
「雑務とかだと思ったの!書類整理とか!こういうのはあると思わないじゃん!」
怒鳴り合い
罵り合う
子供っぽく見えるかもしれないが
今の俺はそのことを考える余裕もなく
とにかく茶々への怒りでいっぱいだった
「知らないよ!そういうことなら断ってくれればよかったよ」
「断れるわけないだろ!あんな状況でよ!」
「元気なのはいいですが車内では静かにしてください」
「「はい」」
大人の覇気
静かにするしかなかった
「…三宅さん本日の任務内容って」
茶々も完全に怯え切ってる
「本日の任務は魔道具の回収となっています。廃校内にある暴走魔道具を回収してもらいます」
「暴走魔道具?」
「強大な魔力を持った魔道具が周辺の植物や建物などを巻き込み実態や意思をもってしまうことです」
「放置しとくと大変なことになるからねパパッと回収しなきゃいけないの」
「へー初耳だわ」
車が走っている中俺はやる事もなく外を見ていた
茶々と三宅さんは何かコソコソ話しているが聞き取れないし聞き取ろうとするのも不文律が良くないしな
(…茶々様)
(どうしたの三宅さん?)
(本当に彼は大丈夫なんでしょうか?今回の任務はレベル3の中でも曲者と聞いています度茶々さん一人でも難しいかと)
(大丈夫ガックーはすごいんだから)
(私にはレベル2未満の少年にしか見えないんですが…)
(アタシはガックーを買ってるんだ信じてよ)
(…くれぐれもお気をつけて)
車が走っていくうちに外の景色はどんどんと真新しいものになっていった
名物メニューを知らないラーメン屋
価格帯のわからないスーパー
どんな文化祭をするか見当もつかない高校
そしていかにも怪しく恐ろしい廃校があった
車は止まりその時初めて目的地を知った
剥がれた装飾、伸び切った雑草
いかにもザ・廃校という感じの廃校がゴールだったようだ
「魔道具はおそらく2階の化学室にあるかと」
「オッケーちゃちゃっとやっちゃおうか」
…茶々だけに?
とかそんなしょーもないこと考える場合じゃない
この廃校に今からか…
「帰りたい」
「なんか言った?」
「なんでもないですよ」
ここまで来ちゃったなら行くしかないか
最悪鬼神がなんとかしてくれると信じて
「まぁガックーには手伝ってもらうんだしプレゼントでもあげよっかな」
「プレゼント?」
三宅さんが車のトランクから細長い箱を取り出した
その箱から出てきたのはいかにも上物のような日本刀だった
「こちら魔道具【封刀】でございます」
「私からガックーへのプレゼント!まだ魔術もろくに使えないガックーにはちょうどいいかなって」
シンプルに失礼
ただ俺に気を遣ってくれたんだ
その分は感謝するしかない
「んでこれは何ができるの?」
「この刀に魔力をこめると斬撃として魔力を放出できるようになります」
「それなりにレアなんだからくれぐれも壊したりなくさないでね!」
物で釣られているんだろうが
有難いものは有難い
よっし決心はした
もうここまで来たんだ
「20分で片付ければすぐ本は読めるだろうし」
「そうだよちゃちゃっとやっちゃおう!」
そういい廃校に足を踏み込んだ




