9、相手の気持ちを知りたい、ジャンピングカード
目の前にいる男性は、何故か自信満々にこちらを見ている。
何を根拠に、そんなに自信に溢れているのか不思議でならない。
所望されたからには、ジャンピングカードを読んでいこうではないか。
ぽんと飛び出した訳でもない、手から滑り落ちたカードを改めて見てみると、鞭と鎌の二枚だった。
思わず笑みがこぼれてしまった。
すっと、表情を戻す。
私の一瞬の表情で、良いカードとでも思ったのだろう。
「どんな感じですか、絵を見ると何となく怖い気がするのですけれど、知らないカードなのでよく分かりませんが」
最近の客は、占い師よりも詳しかったりするのだが、タロットカードの認知度に比べて、ルノルマンカードはまだまだなのか。
と、こういう時に改めて感じる。
「これは、鞭と鎌のカードです。
相手の気持ちということですが、この二枚を採用するのでしたら、全くもってあなたに対して好意を持っているとは言い難いですね」
男性の表情が、明らかに不機嫌になる。
「ただ、私はジャンピングカードは採用しないのですよ。
しかも今回の場合は、ジャンピングカードとは言えないです。
どうしますか、このカードを見て、ピンときたりしてますか。
必要であれば、組み込んでいきますが」
私の言葉に、男性は「勘違いでしたね」とだけ伝えてきた。