7、復縁はできるのか、最終話
私の言葉に僅かに彼女の表情が明るくなる。
「ビジネスパートナーです」
女性の動きが止まる。
何とか理解しようと、思考を巡らせているのだろうか。
「あなたも彼も、損得勘定が瞬時にできる人なのでしょうね。
あと、目的がハッキリしていれば、一人でも突っ走っていける人です。
似たタイプでしょうね。
企業して、ビジネスパートナーになれば、互いに死角になっているところをカバー出来る相手と言えそうなのですよね。」
そういう意味からして、恋愛では互いに違う道を歩み始めているのが、分かっている。
内容を聞いて、愕然としているものの、女性は割と冷静だ。
やはり、どこかでは分かっていたのではないだろうか。
彼のどこが必要で、どこが不要かも、自信で振り返ればすぐに答えを見つけれそうだ。
人の愛情の形なんてのは、色々あって、大体は一方通行なのだ。
男女であれ、恋愛である必要も無い。
互いに補える力を持っていて、それが大いに利益を産むのを分かっているのなら、ビジネスパートナーであってもいいのだろう。
むしろこの2人は、最初からビジネスでの出会いをしていた方が平和だったかもしれない。
彼女は、彼と一緒にいることで、長い幸せを得ることが出来そうだ。
彼だって、他に家庭を持ったとしても、彼女のサポートを受けることが出来るだろう。
互いに割り切ることができるだろうから、かつては恋人だったなんて言っても、誰も信じないかもしれない。
復縁と言っても、恋愛としてじゃない形はある。
そのことを彼女に伝えると、眉を顰める。
それでいい。
今日の仕事はこれでおしまい。
お疲れ様、私。