第1話 プロローグ
プロローグなので短めです。
男の名前は斉藤拓真。28歳のどこにでもいるサラリーマンだ。
「宝くじ当たんねえかな」
今働いている会社に勤務して6年、安月給で日々を耐えている毎日
彼女なし、貯金なし、人生やり直させてください!と何度濡れる枕で思ったことか。
「ガキの頃に戻りてえな」
営業帰りに公園のベンチでコーヒー片手に遊んでる子供たちを眺めている自分。不審者かな?
子供たちは本当に楽しそうに遊んでいる。
自分も子供のころは毎日が楽しくて、将来が楽しみでならなかった。
いつからだろう明日が来るのが怖く感じるようになったのは、、、
やめやめ、感傷的になるのはやめよう。
そろそろ戻りますか、と立ち上がった瞬間目に映った。
完全に正気ではない目をした男。
片手には刃物を握りしめており、楽しそうに遊んでいる子供たちに近づいている。
「いやいや、まずいだろ」
言葉にして冷汗が全身に襲った。
どうする?まだ距離はある。男は目の焦点が子供たちに向いており、幸い自分には眼中がない。
とにかく警察に、と通報しようと電話を取り出した瞬間、男が奇声を上げて子供たちに走り出した。
まずい。
幸い子供たちは男に気が付いて各々逃げ出しているが、一人腰を下ろして泣いている。
間に合うか?
男が少女を見下ろし、ナイフを振り下ろそうと、
「ギリセーフ」
強烈な痛みが胸を襲い、意識を保てなくなる。
薄れゆく視界で、幸い男は追撃することなく腰を抜かしながら逃げ出していく。
日本の優秀な警察なら大丈夫だろう。
そこで男の28年間の人生は終わりを迎えた。
はずだった。
「、、、?」
気が付くと見知らぬ場所、見知らぬ声、見知らぬ体になっていた。