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ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
海百合からの挑戦 本栖湖派出所攻防戦
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78 和三郎 纐纈布に絡めとられる

さてと纐纈城へと戻ってまいりました。

ほんとはも少し7課と遊びたかった。

阿佐ヶ谷のお豆商店街の回想を経て、新大久保の公安8課本部から再びの本栖湖派出所攻防戦の最前線へと戻ることにしよう。


ということで本栖湖である。

超巨大カマドウマと古えハリガネムシセットとのステゴロ対決を制したシュタ公と鈴鹿“怪獣王子”和三郎であったのだが。指のロケット弾でカマドウマを粉みじんにしたまでは良かった。その後がいけなかった。カマドウマのお尻からにょるによると伸びていた古えハリガネムシが、それまでの何かに苦悶するようなぎゅったんぎゅりぎゅりとした動きをやめて、非常に俊敏な動きをみせたため、シュタ公はハリガネムシの動きを阻止できなかった。


元々ハリガネムシは水棲生物。本栖湖に潜られると違った意味で被害が拡大する。なんとか古えハリガネムシの入水は阻止したかったのだが、奴は素早かった。トンネルボーリングマシーンほどの極太な身体が、しゅるしゅると本栖湖へと向かったのだ。そのままハリガネムシは本栖湖に着水するかに見えた。


しかし、その寸前で爆散したのだった。


「なんで?」


シュタ公の頭の上の和三郎が素っ頓狂な声を上げる。

その視線は爆散したハリガネムシの向こうを見やっていた。

和三郎の視線の先には真っ紅な天守閣が見えていた。その下部に設置されたと思しき大砲から煙が上がっていたのだ。


「ひょっとして纐纈城?」


気が付けば、今まで何もなかった本栖湖の湖上に、昔からそこに在ったと主張するほど、真っ赤な城がそびえていたのだ。

「国枝さんの世界線……ですよねえ」

ヒルヒルが紅い城を見上げながらつぶやく。

「なんだいそりゃ?」

田部サンがピンと来ていないのか、問い返す。

「鳰鳥姉さんがやって来た世界の……」

そこまで言ってヒルヒルは言葉を吞んだ。


宇治拾遺物語の「慈覚大師、纐纈城に入り行く事」で言及された、纐纈城。それを基に国枝史郎が『神州纐纈城』を著した。未完なれど傑作の誉れ高き伝奇小説である。

「富士文明を合言葉にハワードさんとこと、国枝さんとこが混じり合っているのだね。ひょっとして魔獣も狩っちゃう? 空海も絡んでくる?」

シュタ公の頭の上で和三郎が自分の世界へと没入していく。というかハワードさんの世界線ってなんなんだよ? そもそも世界線ってなによ? 読んだことある小説の世界が現出するってこれまた一体?

和三郎の疑問を跳ね返すように、紅い城はそこに在った。


その紅い城からびゅんと一条の紅い閃光が和三郎とシュタ公に向けて放たれた。

「ぐぎゃ」

和三郎は纐纈布に絡めとられ簀巻き状態となった。シュタ公も両腕に絡みついた纐纈布に引っ張られ、たたらを踏む。

「い、息が詰まるっ」

「い、いあっ」

纐纈の布に捉われるシュタ公、和三郎はそのまま城へとぐいぐい引っ張られていく。

「ワサワサっ!」

ジェットスーツで助けに向かったヒルヒルも、一瞬のうちに纐纈布に包まれてしまう。

そのまま大きく開いた、巨大な城門をくぐって城の中へ運ばれていく。


「布の材料にするならシュタ公にしてくれえっ」

和三郎の叫びにシュタ公が悲しい顔になった。

ヘリ到着は次回へ持ち越しですね。

遠目塚依子大活躍まであと少しっす。

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