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ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
海百合からの挑戦 本栖湖派出所攻防戦
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77 佐々門姉さん、中間報告をする

7課の話も8課の話もぶった切って。

おさらいー、おさらいー。


2024/08/01 阿佐ヶ谷の後始末と後半を書き足し

さすがの戦刀・胴田貫であった。

「貴ちゃん、殺っちゃってから、なんなんだけど。締めちゃってよかったのかなあ?」

「良いも悪いも殺しちゃってるじゃねえか! それと、貴ちゃんって呼ぶな」

遠目塚依子は何故か宵闇貴彦を貴ちゃんの愛称で呼ぶ。

遠目塚依子と宵闇貴彦は警察学校で出会うまで、面識はない。宵闇貴彦はそう認識しているのだが、どうも遠目塚依子はそうは思っていないようだ。幼馴染だったと思い込んでいる節がある。

「えー、どうして? 貴ちゃんは貴ちゃんでしょ」

「だから、何度も言ってるだろ。お前がいう貴ちゃんは俺じゃないって!」

「またまたあ」

依子は満面の笑顔である。

阿佐ヶ谷の異邦人回収失敗によって、7課は貴重な人材を多く失ったのだった。


宵闇が回想から戻って来る。

「あいつらが来なかったら、たしかに死んでたんだろうけど」

「死んでたんだろうけど?」

「なんか納得いかねえ!」

宵闇貴彦はまた机に暴力を振るった。


「凄いことになってるね」

巨大カマドウマ出現のちょっと前のこと。

田部からの連絡を受けた佐々門がため息混じりに話しかけた。

「んあ?」

チュッパチャップスをガリガリやりながら、如月冴がくるりと椅子を回して佐々門に向き合った。

「いや、本栖湖」

「行った方がいい?」

「うーん、どうしたもんかなあ? イベント目白押し過ぎてね。判断に迷う。今回、シャレにならん位にいろいろな事案が発生しすぎだよ」

「監視塔爆破事件の現地調査でしょ?」

ワンピースに半袖ジャージを羽織った遠目塚依子が尋ねてきた。

「とっかかりはそうなんだけどね」

元々遊軍扱いな如月と遠目塚は、既に発生した案件の収拾に駆けつけることが多い。状況が動いてしまった後で、状況に放りこまれる。目の前のトラブルに対処する。実際何が起こっているか詳細は知らないことが多い。また如月たちはあまり詳細に気を使わない。

「なんか面白いことはないか。子猫ちゃん」

二人のモットーは面白ければいいんじゃ、なので細かいことは基本まったく気にしないのだ。


「とりあえず吉田警察署を目指して、出発したわけだけど。途中の談合坂SAで古のもの配下と交戦状態に陥ってる」

「テケリ・リの?」

「そうそう、親分だね。親分は出てこなくって、ショゴスも出てこなかった。古のものが配下の人間を使って雇った傭兵みたいだよ。それがべらぼうに強かった」

鳥刺の甚五に鳰鳥姉さんのことである。

「おまけに諏訪明神も参戦して、しっちゃかのめっちゃかだよ。おかげで田部ちゃんも出向くことになっちゃった。タケミナカタ様とのツーショットだって、これを送ってきたんだけどさあ」

佐々門がスマホをすっと二人に提示する。

「えっ? これって……」

どうみてもロバート・デ・ニーロである。もしくはそっくりさん。

「なんだか知らないけど、タケミナカタが顕現した姿ってのが、デ・ニーロなんだってさ。私にはさっぱりわかんないんだけど、タケミナカタ様達が映画『ヒート』にハマってしまって、この姿なんだって」

「ハナ警部補じゃないのねえ」

残念そうに遠目塚依子がつぶやいた。

「あ、ヨリーはハナ派なんだ。わたしは断然ニール派よ」

「えー、なんでみんな知ってるのー? 『ヒート』観てないと8課失格?」

佐々門が驚く。

「ハナ警部補はねえ、超仕事人間で仕事が大好きなのね。それなのに家族を持とうとしてて、その都度失敗してる。今は3人目の妻で連れ子もいるんだけど、もう家庭は崩壊寸前。3度も結婚してるのに全然勉強してなくって、家庭は顧みないんだわ」

「あれ? なんか知ってる、それ。奥さんは薬中で、娘が離婚した父親に依存してるんだ。そんで娘が自殺未遂するんだよね。ナタリー・ポートマンが鼻血垂らしてた。なーんだ、観てるじゃん、私」

佐々門は一安心。遠目塚依子が小首を傾げる。

「なんで家族のことは憶えてるのに、主人公のことは忘れてるの?」

「いやあ、なんでだろう? そっちには興味なかったのかなあ?」

佐々門も一緒に頸を傾げる。


「その後、なぜかタケミナカタ様と傭兵は一緒に行動を共にしてる。8課は吉田を通り過ぎて釈迦堂まで行ってしまって、そこで蛙の神様と遭遇したらしい」

「なんで?」

「さあ」

「釈迦堂から急いで戻ったらしいんだが、新手のアレソレ『白いヒョロヒョロ』が大量発生して、樹海からあふれ出して本栖湖派出所を襲撃。タケミナカタ様と傭兵が先に参戦、遅れて8課がヒョロヒョロ迎撃に加わったそうだ」

「ふーん。じゃあわたしらは出番なし?」

「そう、だなあ。状況が変われば……ちょっと今は判断がつかないな」

机の上に突っ伏した如月が不満そうに嘆いた。

「ぶー。ここで待機するのは退屈ぅー」


佐々門の携帯が振動と同時に曲が流れる。サイモン&ガーファンクルの「アメリカ」なのだが、まったくの別物に変貌しつつ名曲として語り継がれるイエスによるカバー曲の方だった。

「はい、佐々門です。おー田部さん。如月と遠目塚、どうしようかと思って……はああっ?」

佐々門の素っ頓狂な叫び声に、如月はむくりと顔を起こし、遠目塚はカラカラと椅子を走らせて、佐々門の許へ急ぐ。

「とりあえず行こうかっ! 本栖湖」

課内を行ったり来たりしながら、佐々門がうーんと唸る。がはっと息を吐くと、如月と遠目塚を視界に捉える。

「よしっ、ヘリで行こうか!」

立ち上がった佐々門が大声を張り上げた。

如月が椅子の上でくるくる回りながら、チュッパチャップスをガジガジする。

「なになになに?」

「超巨大カマドウマと巨大シュタ公がステゴロ対決中だよっ!」

『ヒート』どんだけ、こすれば気が済むのかねえ。

一応、公安8課の華麗なる富士旅行を駆け足で説明するので、後半書き足します。

そんでもって、纐纈城と向き合おうと思います。そのあとで畸獣楽園デーザ・バリモーにも

挑まねばならぬー。

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