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ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
海百合からの挑戦 本栖湖派出所攻防戦
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72 和三郎 紅い城に出会う

超巨大カマドウマWith超巨大ハリガネムシVS超巨大シュタ公Feat鈴鹿和三郎!

もはや公安がどうしたとかのちまちました話じゃなくなってますな。

こんなはずではなかったのに。


2024/07/17 三沢光晴の名前を間違えていた。

シュタ公は膨れ上がり、ほぼガンダムほどの大きさとなった。マンションなら5階建てくらいの高さだ。結構いろいろ見渡せるもんだな。

「『見ろ!! 人がゴミのようだ!!』は言いたくなるよなあ。下はヒョロヒョロの死骸だらけだけどな」

「ま゛」

シュタ公が律義に答える。


急に巨大なチーキーベアが目の前に出現したわけで、超巨大カマドウマは距離を取ってジャンプを止めた。前肢、中肢、後肢を全部踏ん張って身体を止める。着地したが急な制動をかけたのでずりずりーと地面を滑る。周りに散らばったヒョロヒョロの骸が跳ね飛ばされて中空に浮き上がった。

ぼとぼとぼとと骸が落下して、不規則に跳ね返る。後肢を踏ん張り、ちょっと猫背な体腔を前方のシュタ公に向き直す。

和三郎は最初はシュタ公の肩にいたのだが、チーキーベアは須らくなで肩だ。落っこちては困るので、にじにじと移動を続け、今は頭の上に居た。

「気分は『怪獣王子』か『巨神ゴーグ』だな!」

呑気な和三郎は有頂天だ。超巨大カマドウマは警戒感MAXで臨戦態勢を取る。それを肌で感じたシュタ公も身構える。とてとてと短い脚でシュタ公は前進を開始した。超巨大カマドウマはぎゅんと後ろ脚を畳んで勢いよく跳躍した。

巨大ぬいぐるみ対巨大な不快生物。遠目で見たら絶対に二度見確実な戦いが始まった。

がつんとぶつかりあうぬいぐるみとカマドウマ。鈍いごっという音が響く。

「すごい音だ。俺はすべての席がリングサイドと言われる後楽園ホールに行ったことがあるのだ、白糸台。まだ幼少の頃ではあったのだが、親父の趣味で女子プロレスの試合観戦をよくしていたのだ。その時聞いた衝撃音はいまだに忘れられない。肉弾相打つというのか、鍛え上げられた肉体がぶつかり合うリアリティにさらにリアリティを加えるのが、そう『音』なのだ。この音はまるで能智房代がダイナマイト関西と初対戦した時に、関西が立ち上がりかけた能智の頭部に炸裂させたローキック張りに鈍い音がしたぞ!」

「前半の解説はなんとなくイメージできるんだが、後半の具体例がマニアック過ぎてついていけんぞ。おそらく全盛期のJWPを知る人間が少なすぎるぞ、中島敦!」

「そ、そうなのか。あの伝説のクラッシュギャルズの長与千種が復帰する契機を作り、後のGAEA JAPAN誕生の布石ともなった、ダイナマイト関西だぞ!」

「JWP有明コロシアムでのアジャ・コングVSダイナマイト関西は強烈だった。アジャ・コングの裏拳VS関西のスプラッシュ・マウンテンのきめ技対決などは、非常に燃えるものがあるのだが、しかし、能智房代が出てくる時点でおかしいんだよ。同時代にキャンディー奥津や矢樹広弓などの試合巧者がいすぎて、脚光を浴びなかった選手だぞ。その巧みな負けっぷりには定評があったのだけどな。おそらく、お前の解説では少しも状況がわからん! スターダム所属選手とかで例えてもらうか、新日本プロレスとかで例えてもらった方がわかりやすいぞ、中島敦!」

「わかった。今後検討する!」

あまりに例えがマニアックな物事に走る解説者たちはさておき。

「この距離だとやっぱりカマドウマ気持ち悪いなあ!」

これが和三郎の感想であった。

がっちりシュタ公が押さえ込んでいるので、うごうごと蠢くカマドウマの顔がむちゃくちゃドアップで見えてしまうのだ。濁った複眼の眼の動きとか、ぴくぴくと動く触角とか、開閉する顎の動きとか、全部はっきりくっきり見えてしまっているのだ。


「シュタ公、懲らしめておやりなさい!」

和三郎がシュタ公に命令する。

「ま゛」

シュタ公は応えると、巨大カマドウマにエルボー・バットを一発。そのまま回転してもう一度エルボー。

「三沢光晴式のローリング・エルボーだっ!」

拳を握って中島敦が叫ぶ。つられて隣で白糸台も拳を握る。

エルボーを叩きこまれたカマドウマが後退する。

「ま゛」

シュタ公は両腕を左右に振る独特のポーズを取る。

「あああっあのポーズは!」

ヒルヒルが途端に目を輝かせた!

「ロボのロケット弾だっ!」

シュタ公の両手からにょきっと5本ずつロケット弾が顔を出した。シュタ公は無造作にロケット弾を発射した。連続して発射が可能なようで、どんどんどどんとカマドウマに着弾する。着弾と同時にロケット弾は爆散し、その都度カマドウマの身体を粉砕していく。ついにカマドウマは木っ端みじんに粉砕されて、ハリガネムシの釘抜き状の頭部が露となった。


巨大ハリガネムシは先ほどまでの悶えるような動きと違い俊敏に反応した。ハリガネムシはシュタ公を躱して、一路本栖湖を目指して跳躍したのである。

「おおおっ」

ヒルヒル達が大声を上げるなか、そのままハリガネムシは本栖湖に着水するかに見えた。

しかし、その寸前で爆散したのだった。

「なんで?」

シュタ公の頭の上の和三郎が素っ頓狂な声を上げる。

その視線は爆散したハリガネムシの向こうを見やっていた。

和三郎の視線の先には真っ紅な天守閣が見えていた。その下部に設置されたと思しき大砲から煙が上がっていたのだ。

「ひょっとして纐纈城?」

今月の主題歌は日向坂46『青春の馬』ってことで。

立ち止まると夢も叶わず死んじゃうんだぜ。


ようやく纐纈城までたどり着いたが、その後のことは何も考えていなかった。

纐纈城軍団対古なるものって面白そうと思っただけなんだよ。


女子プロレスの交流戦華やかなりし頃の思い出ですね。

ジャパン女子から枝分かれしたLLPWとJWPってのがあって、JWPが割と

台風の目というか、渦の中心に居たのかな。

長与千種の復活に貢献し、続く女子プロレス団体乱立の起因にもなったんじゃないかな。

遅れて復活したライオネス飛鳥の弱体化→復活→ヒール転向のブックはとても楽しかったなあ。

現在のスターダム、マリーゴールドと連綿と続く、女子プロレス団体勃興なども語りだすと止まらないので、そのうちヒルヒルや中島敦が語ってくれるでしょう。

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