66 ヒルヒル 調子に乗る
本栖湖防衛線4
2024/06/27 ちょっと気になったところを直す。大筋に変化なし。
ヒルヒルが『Thunderstruck』の爆音と共に飛び出していったちょっと後のこと。
骸となった白いヒョロヒョロで即席バリケードを築いて、白糸台と中島敦は、タケミナカタ達と銃撃を繰り返していた。土偶の兵士は何体か壊されてしまったが、一緒に戦っているうちに中島敦に“ドッグ”と名付けられた兵士は、警官隊を守るように奮戦していた。
その手前では大きなわんこ達が、ヒョロヒョロの首根っこを噛み千切って、わふわふ大喜びしている。
少し離れた所で鳰鳥が火炎の手妻で、甚五が黐竿で奮戦している。
ヒョロヒョロ達は前進を止めず、仲間が銃撃で倒れようと、炎で焼かれようが、その屍を乗り越えてずんずんと歩みを止めない。放水車により弾き飛ばしても、わらわらと派出所目指して進んでくるのだ。
「もうすぐ弾が無くなるぞ。白糸台」
「こっちも心許ないぞ。中島敦」
タケミナカタが中島と白糸台にマガジンを放って、ウインクしてみせる。
デ・ニーロと一緒に戦ってる錯覚に陥るよなあと白糸台と中島敦が思った瞬間。
どこからともなく音楽が聴こえてきた。イカしたロックナンバーだ。
「これ聴いたことあるな、白糸台」
「うん、AC/DCだな」
「いよいよ本隊のお出ましだな。あれは8課の蛭子の娘:ヒルヒルだな」
「え? 蛭子の娘……ヒルヒル?」
中島敦がきょとんと音のする方を見やると、鈍色に輝く謎の飛行物体があった。白いヒョロヒョロの上空でしばし、ホバリングすると、その物体は派出所に向かって飛んできた。
「あれが? ヒルっ娘 ヒルヒル?」
白糸台と中島敦が顔を見合わせる。
ぐおんと近づいてきたジェットスーツのヒルヒルは、タケミナカタ達の上で停止してゆっくりと降りてきた。
「助けに来たよっ! 明神様!」
タケミナカタ、大国主、出早雄がサムズアップする。甚五は黐竿を掲げて見せる。鳰鳥は火の玉を指先でくるくると回して応える。
きょとんとガルム達はヒルヒルを凝視している。土偶兵士はヒョロヒョロを斬りつけていた。
「ちょっとどいてね」
そう言うとヒルヒルは再び上空へと浮かび上がった。
「人工衛星8823にアクセス。
認証コード『月は出ているか?』」
『認証コード確認。座標を確定。
申請者が神属性含有者と確認できました。
システムを起動します』
「人工衛星8823は太陽エネルギーを変換して供給する発電衛星だよ。この衛星からエネルギー供給を受け取ることが可能だけど、それには特殊な受領機が必要なはず……」
「見事だぞ白糸台。解説キャラへ転身とは、寿命が延びたな」
漫画(特に少年漫画に多し)ではよくあること。戦闘の勝敗の結果などがなんか玄人過ぎてわからんわーって時に現れて、一般人に分かりやすく説明してくれるキャラクターだ。確かに書き手にとっても読み手にとっても、解説キャラはいろいろと重宝する役割なのだ。起こった現象や、状況を丁寧に解説してくれる物語進行上、とっても貴重な人なのだ。そんな人が簡単にお亡くなりになられると、みんながきっと困るんだ。なので解説キャラはなかなか死なないのだ。知らんけど。
ヒルヒルは義肢? 外骨格? 背面の避雷針状の受容システムでエネルギーを受け取った。ゲージがFULLになったのを確認すると、ヒルヒルはにんまりと笑う。
「7号機レーザー発射用意」
右肩の砲塔が降りて来て、これを2本の義肢が固定した。
「いくよっ!
前方ヒョロヒョロに向けて発射」
ヒルヒルがを左から右へと砲塔を奮った。
少しのタイムラグで、白いヒョロヒョロが左から右へと、一直線にぼんぼぼんと爆ぜていく。
「最大出力でいきます!」
ヒルヒルはヒョロヒョロ達が這い出てくる、樹海のコンクリート塀へ標準を合わせる。
レーザーは明るいと見えないし、発射音もなく無音だ。
「発射!」
手前から奥へ、凄まじい速度で白いヒョロヒョロが爆ぜていく。ヒョロヒョロ達が這い出てきたコンクリート塀もレーザー光線は溶かしていく。ヒョロヒョロを生み出していた大元まで届いたのか、ヒョロヒョロが湧き出るのが止まった。
その間もアンガス・ヤングのギターが鳴り響き、ブライアン・ジョンソンのボーカルが追いかける。
ヒルヒルの後方、派出所を死守していた警官隊から歓声が上がった。ヒルヒルは空中でくるりと派出所の方を向いた。さらに歓声が大きくなる。
ヒルヒルは大きく、大きく頷いた。
「今日も大勝利である!」
ヒルヒルが吼えた。
『アキラ』のSOL辺りを参考にしたんだけど、
何だか結局、サテライ〇システムになってしまった。




