56 ヒルヒルのツボ つるつるの壺(INU)
ようやく樹海に着きます。
2024/06/17 少し加筆。文字〇で隠そうか迷ったけど、いろいろ怖いのでそのまま表記。
「水門ニック研究所……」
「そう。そこからやって来た開發です。アレソレに囲まれてたんで、行きがけの駄賃じゃないや、まあ進行方向同じだったので、あの白いのは邪魔だなあ、なんて思って駆逐したわけですよ!
うちの瀬蓮張がっ!」
「助けていただいたのはありがたいが、なんとも縁起の悪い名前の研究所だな」
旧上九一色村現精進湖民宿村に着いて、それぞれが体をほぐしながらの会話である。
ホープスター・ユニカーの荷台はほんとに狭い。そこにXM556などが積まれていて、開いている隙間に無理矢理おしりをねじ込む形で、タケミナカタ、大国主、出早雄、甚五が乗り込んでいた。運転は瀬蓮張。助手席には鳰鳥が、恵はモトコンポに乗って並走して。
現地を見たいとタケミナカタ達は思っていたが、まあ休息も必要かと樹海を囲む巨大なコンクリートの壁を眺めながら、民宿村へとたどり着いたのであった。
其の頃の公安8課はというと。
「ああ見えてきたね。巨大コンクリートの壁面が」
田部サンが樹海を囲む壁を指して宣った。
「昔あったなあ。新宿にベルリンの壁が出現するっていうお話。いや演劇だったかな」
「第三エロチカの『新宿八犬伝』第二部「ベルリンの秋」ですね! 初演は1985年で場所は新宿歌舞伎町の新宿ACBホール! 支配人の大島役の有薗芳樹が弁当食いながら芝居してて、大声上げる度に口からご飯粒飛ばすという! 大声上げるから体に力が入って、ピピーンって脚がまっすぐになるあの姿が強烈でした」
「おいおい、どこにツボがあったんだよ、しかも観てきたみたいな細かい描写はなんなんだ、ヒルヒルー!」
「え? だって時空を超えて新宿にベルリンの壁とナチスが出現して、闇の八犬士と相まみえるんですよ! 騒!乱!情!痴!遊!戯!性!愛!」
「今、冷静に考えたら、すげえ中二臭いなあ」
「巨大な男根にしかみえない巨大張りぼてが、舞台と客席の間を行ったり来たり。いやはやすごいですよね。『リストマニア』もびっくりですよ! 渡辺えり主催の劇団3○○の『ゲゲゲのげ~逢魔が時に揺れるブランコ~』とか、鴻上尚史の第三舞台とか、野田秀樹の夢の遊眠社とか、80年代の小劇場ブームは激熱っす!」
「もう、ヒルヒルは戻って来いよ。あと、若い娘が男根言うなよお」
「超獣機神ダン〇〇ガ!」
「『愛よファラウェイ』って、こらっ ハウス!」
ヒルヒルが暴走していたのだった。
『新宿八犬伝』はつい最近完結したんですよね。知らなかったわ。
ヒルヒルの語る『新宿八犬伝』は、自分が実際観てました。記憶を基に書き起こしたので、間違ってたらごめんなさい。




