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ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
海百合からの挑戦 公安8課富士へ
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51 ハンプアトゥは情報収集を欠かさない ラーメン大好き淡島さん

ということで釈迦堂遺跡群での蛙の神様眷属と遭遇!

いやはや和三郎の居る日本は確実に、我々の居る日本では無さそうですね。

「基本的に蛙の仲間は怠惰だからね。こちらに害がなければ、なにも気にしないよ。ただね、心配の種は取り除いておきたいなと思う訳さ」

宇宙服蛙はそう言うと先ほど同様にだらりとした格好で椅子に戻った。

田部サンと和三郎は見つめ合って、しばし思案する。

「いいでしょう。我々も事を大きくする気はない。情報を提供しましょう」

田部サンが決めたことを話す。

「そうだね。こっちとしても古のものの動向がわかれば良いなとは思っているしね」

和三郎が同意する。

「おそらく貴方たちのところに被害が及ぶことはないでしょう。はてさて、どこから話せばいいのかな。

そのう、あなたは……」

田部サンが宇宙服蛙をどう呼んでいいのか逡巡した。

「ハンプアトゥとでも呼んでくれ」

ケチュア語の蛙だ。スペイン語じゃないのは征服された恨みからかねえ。

「それではハンプアトゥさん、あなた達はどこまで情報を把握されておりますか?」

「うん、キミたちがあの樹海に手を焼いていることは知ってる。これまでに3度ほど攻撃を仕掛けて、手ひどく撤退していることもね」

「……はは、一応極秘事項なんですけどね。我々は知らなかったんですが、昔から古のものの遺跡はそこに在ったと聞いています。ここ数十年で樹海が活性化したのか、埋まっている遺跡が再起動したせいなのか、樹海のアレソレ、我々は怪異というか超常現象的なモノをそう呼んでます。そのアレソレが樹海周辺で大きく被害を出すようになりました。対策として我々警察と自衛隊が共同で行う、樹海平定戦が行われております。

2年前の第三次が今のところ最後になってますね。第三次までの間に巨大な壁で囲んで、アレソレが漏れ出さないようにするようにはなったのですが……正直苦戦しておりますね」

「そうだねえ。根本原因の古のものの遺跡はそのままだものね」

「今回、アレソレの対策のために設置した監視塔が2基破壊されたことを起因に、我々公安8課が現地捜査に赴くことになりました」

「うん、その途中で古のものの依頼を受けた傭兵と交戦状態となったというのは知っているよ」


「鳰鳥姉さん達って傭兵だったの?」

驚いた和三郎が聞き返す。

「うん。なんかいろいろあって、江戸時代からあの人達はずっと傭兵やってる。そうだね『オールド・ガード』の不死身の傭兵みたいなもんだね。確かに不死身設定はお腹いっぱいだよねえ。それにあの映画、今一つ辛気臭くてね」

その通り、また心を読んでるし。シャーリーズ・セロン主演のネトフリ映画だよ。思えば『アトミック・ブロンド』も微妙だったよねえ。フェリオサはキラキラ輝いていたのに、以降はパッとしないねえ。

「笑ったのが、今は敵対してたはずの諏訪明神と行動を共にしてるんだろう? そろそろタケミナカタサンは樹海に着きそうだね」

蛙の神様の眷属は情報収集能力に長けているようだ。なんて思ったら、ハンプアトゥが和三郎の方を見つめて頷いた。

「そうだよ。情報は大切だよ。最新の情報を握り対処さえ怠らなければ、堂々と惰眠を貪れるからね」

お前も心を読むのかよっ。するとハンプアトゥは少し笑ったように見えた。

「いやいや、和三郎君はわかりやすいから。そもそも諏訪明神だけだったら、傭兵を差し向けることもなかったんだろうね」

「やはり。そう思いますか」

理解しているという表情で田部サンがうなずく。

「君だよ。和三郎君。君が蛭子の子供と一緒にいるからだよ」

「え? え? ここでも俺なの?」

ハンプアトゥは大きく頷く。

「だから諏訪明神が顕現したし、あの気持ち悪い立方体みたような輩が傭兵を雇ったんだよ。クマのぬいぐるみに教えてもらわなかったのかい?」


和三郎はトレイの上でどんぶりに手を突っ込み、ラーメンを頬張るシュタ公を見つめた。

「樹海でなんかあるらしいとは教えてもらったんですけどね。シュタ公と会話できないんですよ。なんか知ってるっぽいなあとは思ったんですけどね」

「いあっいあっ」

シュタ公は偉そうにうなずくと、再びラーメンに手を伸ばした。

ハンプアトゥは和三郎とその隣で、はふはふと激辛シャカリキレッドと格闘中で話を聞いていないヒルヒルを見つめた。

「蛭子の子供と和三郎君が災難をかぶってくれるなら、ここいらは安泰だな。うん」

ハンプアトゥは一人で納得すると立ち上がった。

「問題は無いようなので、私は失礼するよ。釈迦堂まで引っ張ってしまって悪かったね、カデちゃん」

カデちゃんが急に話を振られて、もぐもぐしていたのを止めた。ほっぺが膨らんでいる。

「お詫びにこれを上げるよ」

ハンプアトゥはカデちゃんに何やら手渡した。それは土偶の顔をあしらったアクセサリーだった。

「しゃこちゃんとしゃかちゃん!」

「ストライプにでもしてくれたまえ」

そう言い残すとハンプアトゥは姿を消した。


田部サンが大きく息を吐きだした。

「諍いにならずに済んで良かった」

「いやいや、よくねえですよ。俺、樹海に行ったら確実に災難に遭うって言われたんですよ」

「うん、まあねえ」

「ヒルヒルお前も言ってやれ、ラブクラフト絡みで災難に遭うらしいぞ」

ヒルヒルはごくりとラーメンを呑み込むと、がぶがぶと水を飲む。

「いやあ、辛い。あ……もとい

シャカリキレッド からーい!」

どこのCMだよと和三郎は思った。

ようやく次で樹海に着けそうです。

さて、和三郎とヒルヒルに何が待っているのでしょうか?

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