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ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
海百合からの挑戦 公安8課富士へ
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50 ヒルヒルは知っている イガ戦士の心の傷を

ということで、前回『わらの犬』の前振りもあったし、前々回は『キラー・エリート』と同じ時期に大ヒットをかましたブルース・リーについても言及しています。

ついにいよいよカンフーがガン・フーに与えた影響について語られるんでありますなあ。

「半人半蛙って知ってます?」

「はんじんはんあ? 知らないなあ」

「縄文時代の土器に蛙と人間の合の子みたいなデザインがあしらわれているものが結構あるんですよ」

和三郎が隣の席の銀色の宇宙服蛙をみながら呟いた。

「古代宇宙飛行士説だよね。なんでも宇宙人が文明を教えてくれたっていう。

あ……はいはい。そういえば、蛙の邪神がいたねえ。

ひょっとしてひょっとしますかね?」

宇宙服蛙は何も言わずに座っている。隣でこんな話をしているのに、全くリアクションがないのは不気味だ。

「おそらくこの釈迦堂遺跡あたりって、蛙の神様に関係あるのかなあと思う訳ですよ」

「やっぱり、あれですよね、ツァ……」

和三郎を遮るようにヒルヒルが声を上げた。

「ガマゴン大王ですよね。レイダーによって召喚されたガマゴン星のガマラ王国を支配している大王様。別次元からの来訪者!」

「いやいや、設定的にはよく似てるけど、別モンの話をしているよ、ヒルヒルは」

「サブタイトルが当時の特撮作品としては今のラノベ並みに長いんですよね。『夏だ!海だ!伊豆半島を襲うメテオの群』とか『みゆきは今?さまよえる幻のクリスタル』とか、『不思議な毒花を熊狩りじいさんは見た』これなんて最高ですよ!」

「うーん、クライマックスは短いよ『ミミー』とかさ、それこそ『ガマゴン大王』とか。新聞のラテ欄(ラジオテレビ欄)に、出演者の叶和貴子を反映させたいがために、わざと短くしたのは有名だよね」

「まあ、そのガマゴン大王がこの釈迦堂遺跡に……」

「いるわけないでしょうが! 蛙の神様の話をしてたんだよ」

「だからガマゴン……」

「大王もコズミックホラーといえば、そうなんだけどさ。そっちじゃないよー。ヒルヒル戻ってこーい」

ヒルヒルが暴走しかけた。次に何かを言おうとしたのだが、田部サンが止めた。

「女戦士ベル・ヘレン。失踪したイエローフォーね。矢島由紀だっけ」

めげないヒルヒルが口を開きかける。

「柿崎澄子ちゃんね。『透明ドリちゃん』だよね」

びっくりするヒルヒルだったがめげない。チャレンジャーだ。

「宝忍ジャンヌ」

再び田部サンが防ぐ。ついにヒルヒルは黙ってしまった。

「柿崎澄子ちゃんは『世界忍者戦ジライヤ』が最後だったなあ。あれその前の『巨獣特捜ジャスピオン』『時空戦士スピルバン』が振るわず、ついに朝のお子様枠へ時間移動、起死回生のつもりで吉川進プロデューサーのいわばセルフリメイク的な『超人機メタルダー』も振るわず。メタルヒーローの着ぐるみ作る予算がないと当時噂になったくらい、予算が縮小されて苦肉の策の『ジライヤ』だって話は聞いたことがあるよ。意地で巨大ロボ的な金剛磁雷神を出したんじゃなかったか。柿崎澄子ちゃんも好きだけど、僕はやっぱり秦暎花ちゃんが……」

ついに我慢ならずに饒舌に話出した和三郎が、田部サンがジト目でこっちを見ているのに気付いた。やばいやばい。

「……というわけで、隣の人? 人なのかわかんないけど、話はできるの?」

和三郎が隣の銀の宇宙服蛙に声をかけた。


「できるよ。ガマゴン大王なる存在は実在するのか?」

「いやいや、いないよ空想の産物だよ。ひょっとしてひょっとするんだが、キミはあのいわゆるやんごとなき蛙の神様関係の人で間違いない?」

「そうだ。ここは君らで言う遺跡というものになる」

「うへえ。正統派の旧支配者様がいらっしゃいましたよ。

なぜ、僕たちの前に姿を現した?」

和三郎の問いかけに、それまで身じろぎもしなかった宇宙人蛙が身体の位置を質した。

「好奇心。それと君らの言う古のものの動向を確認したかった。最近はあちらの方が大騒ぎしているだろう? そこのお嬢ちゃん、カデちゃんには悪いが、認識操作をさせていただいて、この釈迦堂遺跡まで来ていただいたと言う訳さ」

それまで、我関せずでラーメンをすすっていた勘解由小路が、ちゅるちゅるとラーメンをすすりながら立ち上がり、宇宙人蛙を指差す。

それに対して宇宙人蛙は、右手を上げて済まないという意を表す。


まさかの『宇宙刑事シャリバン』でしたね。

いまちょっと香港映画と日本映画におけるガンアクションを調べてます。

外連味というとこでは、ウエスタン、時代劇、武侠あたりを調べてるんですが。

深作欣二の初期監督作『白昼の無頼漢』が、日本映画じゃないようなテイストでえぐい。

登場人物日本人と白人と黒人と韓国人の混成部隊が、現金輸送車からドル紙幣強奪する話なんですが、もう裏切りに次ぐ裏切りで先が読めない。クライマックスの銃撃戦も結構様になってるんだよなあ。これが年月を経たはずの角川映画の肝入りアクション巨編『野生の証明』になると、なぜか銃撃戦シーンが退化している。日本映画の銃撃戦演出は映画ではなく、テレビドラマで錬成されていくんじゃないかと思ったりしています。そうなるとテレビドラマも検証するしかないのかあ。

ガン・フーへの道は厳しいねえ。

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