35 ケンゾー お約束キャラを呼び出す
えーと、旧支配者と古のものは別物だというのを知りませんでした。みんなひとくくりで旧支配者だと思っておりました。一応、これまでの分で間違った表記はないかと確認、修正しました。
2024/04/02
カデちゃん&ヒルヒルの動向追加
2024/04/08
リンちゃん動向、タケミナカタ&大国主会話追加
2024/04/03
タケミナカタサイドのエピソード追加。
2024/04/12
結界を張る必要があって結界を張った。
いや、一般客の大量殺戮もやりたいけど、それはここじゃねえし。ちょっと邪魔だったので、一般客には居なくなってもらいました。
タケミナカタが目の前で書類の束と化して消えてしまった。
鳥刺の若者を視界に捉えた和三郎が叫ぶ。
「これー。デ・ニーロはデ・ニーロだけど、マイケル・マンじゃなくってテリー・ギリアムじゃねえかようっ!
つうか、なんだお前はっ!」
「ただの鳥刺と思ってもらっちゃあ困るぜ、鳥刺が違う」
「いや、鳥刺っていつの時代だよ。鳥黐使うのは鳥獣保護法で禁止になってるだろ。それ使っていいのは世界広しといえど、フランス人だけだぞ」
5メートルほどの距離を開けて対峙する鳥刺の若者と和三郎。居合わせた一般の方々は、こりゃやばいと逃げ出している。
和三郎がツッコミを入れつつ時間を稼ぐ。
そこで何かの力が弾けて、関係者以外をかき消した。というか何者かが結界を張ったようだ。辺りで大騒ぎしていた一般客が誰もいなくなった。このサービスエリアの在り方を、現実世界からちょいとずらして見えなくしたとでも言えばよいのか。そういう力が働いているようだ、よく知らんけど。
シュタ公は和三郎の肩の上でてぃけり ていけりと大騒ぎする。
視界の端でカデちゃんが車を回すと合図を送っているのが見える。
サムズアップで応える。ヒルヒルがカデちゃんの後を追うのを確認する。
リンちゃんが果敢に攻撃を仕掛けるが、すべて黐竿で阻まれてしまう。
「るるるるるぃ~!」
リンちゃんお冠である。
「臨戦態勢、じれったいね
こっちはいつでもいけるよ、和三盆」
和三郎の隣にカードを手にしたケンゾーが近づく。
「危なくなったら頼んだ。ケンゾー」
和三郎は鳥刺の若者が手にする黐竿を見た。恐ろしく長い。だからあの遠い間合いで、タケミナカタの額を貫けたのか。
「神様を攻撃したってことは、神道とは対立してる。スライム関係だったらビンゴ。どっちにしてもアレソレな輩とみていいな」
和三郎、携帯を許可されたH&K USPに手をかける。阿弥陀如来に対峙した時は丸腰だったが、今回は武器がある。といっても、この得体のしれない鳥刺に拳銃が通用するか甚だ疑問ではある。
なんとかハイエースへとたどり着いたカデちゃんとヒルヒル。運転席に飛び込んだカデちゃん、後部座席に飛び込んだヒルヒル。急に走って来たものだから、はぁはぁと息が上がっている。
「神様一撃でのしてたっすよ。えげつないっす」
「あの諏訪明神だっけ? ごっつい強いはずなんだけどな。あっさりやられすぎ。きっと本体じゃないと思う」
「ああ、小さい社経由で来たって言ってたっすね。きっと小さい力で顕現してたんじゃないかと思うっす。だから、鳥刺に簡単にやられたっすよ」
「なーる」
本社の中にとさっと落下するようにタケミナカタは姿を現した。ニール・マッコーリーの姿のまま、黐竿で刺された額をこすりながら少しネクタイを緩める。大きくため息をつく。
上野原の諏訪神社に無理矢理戻されたようだ。タケミナカタは談合坂サービスエリアに索敵を行いながら
急いで本社から飛び出した。幸いに顕現は維持されている。
「高速道路警察隊も動きましたよ」
曖昧模糊とした人型を明瞭な姿に変えながら、大国主が声をかけた。大国主はクリス・シヘリスへと姿を変えた。タケミナカタがやるじゃねえかって感じで目を見張った。
「アイスマン、好きなんですよ。私も付き合いますよ。鳥刺よりも後に控えているアレは手強そうだ」
「確かにな。樹海の件を頼もうにも、今のままじゃ落ち着いて話も出来ん」
「やっぱりあの男は度津のものですか?」
「だと思うんだが、確信は持てない。まあお願いするだけならタダだからな」
「そうですね。それから出早雄もマイケルで行くと言ってます」
「ははっ。幼女を人質に取らないよう言っておかないとな」
大国主は眉毛を上げてにんまり笑う。
「よし、警察隊のフリして、仕掛けてみよう」
しばし、ヒルヒルとカデちゃんは車内で呆けていた。段々と息も整ってきた。
大きな衝撃音と、かすかな3点バースト音が聞こえてくる。
「和三郎とケンゾー&リンちゃんでいけるっすかねえ?」
「あの、鳥刺だっけ? なんだか嫌な感じだったよなあ。そういえば、たしかここに……」
急に不安になったヒルヒルは荷物置き場をがさごそと探し始める。
「あった!」
銀色のジュラルミンケースをみつけ出した。ケースには「5」数字が刻印されている。
「そんじゃ、車を移動がてら、助っ人にいきますか」
「レモンちゃん、任せた」
「いやだなあ、カデちゃんって呼んでくださいよー」
ぶぶんとハイエースのエンジンが声を上げる。
ヒルヒルとカデちゃんは視界の隅に、和服を着た集団を捉えたのだけど、今はそれどころではないと無視することにした。
「鳥刺だと馬鹿にするな。こう見えても侍の家系だ。樹海に近づくな」
「ひょっとして、四角柱に手足生えたやつの差し金?」
「…………」
「あ。この無言は肯定だよな。なるべくなら、古い方々とのトラブルは避けようと思って、あえて名前を出さなかったのに。あっけらかんとフラグ確定させちゃったよ。
喜べシュタ公。お前の望んだ通り玉虫色のスライム様出現は確定らしいぞ」
「いあああ」
望んでないよ~とシュタ公はへこんだ。
「和三盆 相談」
「ここでガルムはまずいと思うんだ。群れだし図体がでかい。ルシファーもいまいち使い勝手が悪い。で何を出そうかなと」
「ヤツの偉く長い竿がやっかいだ。結構素早い……と思う」
「じゃああれかな? ギリシャ神話のやつ」
びゅびゅん。
黐竿がしなった。どこんと和三郎後方右側のテーブルが爆ぜる。
「うわわ、ギリシャって言うと神様のクセに生臭い連中がいっぱい出てくるやつだ」
飛び散る破片を避ける。
「うん、アテナと機織り勝負した奴って何て言ったっけ?」
鳥刺の若者の背後に人がいないのを確認した和三郎はUSPを3連射。
びっ、びびっ、びびん。
鳥刺の若者は器用に黐竿で弾を弾いてみせた。
「なんだよ、もう! これじゃ丸腰と変わらん。えーと機織り勝負だっけ? 糸使うんだろ。蜘蛛だよ蜘蛛! エーとなんだっけ? そうだ、アラクネー。アラクネーじゃないの? ギリシャ語だし」
「それな」
びゅびゅん。
今度は横なぎ、左から黐竿が高速で迫った。和三郎とケンゾーは前方回転する形で回避。黐竿はテーブルや椅子、仕切り板を薙ぎ払っていく。応戦する和三郎。
しかし、面白いように弾丸は黐竿で弾かれていく。
ケンゾーが取り出したカードの表面が円錐状に盛り上がる。
ぱりんと割れた円錐の中から8本の歩脚の先端が顔を出した。
ふ節、しょ節、脛節、膝節、腿節、転節、基節。
細い先端から太い基節まで。品矢かで強靭。順々に円錐状に畳まれた蜘蛛の脚が姿を現していく。
頭胸部に続けて腹部が姿を現す。円錐状に伸びた第1から第4までの歩脚はそのまま天井へと張り付いた。
すべて姿を現した腹部をぷるんと震わせる。
頭胸部には連なる人体部分が姿を見せ始める。細く括れた白い腰、細く繊細な指先、華奢な白い両腕、それに反比例するようにたわわな胸部。
美しいカーブを描くうなじ。
眉目麗しい顔が現れる。
おお、美しき半蟲半人、アラクネーがサービスエリアの天井に降り立った。
「それじゃ、アラクネーは和三盆を助けてあげて」
ケンゾーの声にアラクネーはこくりと頷くと天井を走る。
下方で何とか黐竿を躱しながら、応戦する和三郎の姿を確認する。
確認するとアラクネーは二人の中間地点に、するりと降り立った。
「アラクネーって、美しいねええ」
和三郎はアラクネーの美しい体躯に見惚れて呟く。
アラクネーが和三郎の言葉に軽く会釈する。
「寄るな寄るな、寄っちゃいけねぇ。この黐竿をとくと見やがれ」
びゅっと若者がアラクネーめがけて黐竿を突き出した。
ばしんとアラクネーが腕の一振りで弾き返す。
「この化け物めっ」
鳥刺の若者が悪態をつく。アラクネーが口を開いた。
「化け物ではございませんことよ。
蜘蛛ですが、何か?」
鳥刺に対抗するべく、アラクネーが登場!
アラクネーカッコいい!




