29 和三郎 バナナはお菓子ではない。果物であると知っていた。
いやはや
いのまたむつみさんまでが鬼籍に。
さて冨士の樹海へ向かいます。
2024/03/21 リンちゃんとシュタ公の出会いに少し加筆
新宿区立大久保小学校の校門前に集合。
檸檬、もとい、カデちゃんが回してくるハイエースを待っている。
和三郎はそんなに荷物は持っていない。デイバックに着替えを突っ込んでとぼとぼと校門前へとやってきた。あ、バックにはシュタ公も突っ込んだはずなのだが、なぜか奴は左肩の上で、ジョニー・ソッコというか草間大作少年状態で「いあ、いあ」している。さしずめ和三郎は飛行ロボもしくは原子力で動くロボって感じである。うん、FXではないと思う。
ヒルヒルはやっぱり重たいコントラバスケースをガラゴロしながらやって来た。番号は7である。殺しの番号だったり、女王陛下の所有物だったりする番号だ。日本だとデュワって言っちゃう巨大ヒーロー。後年、人間体がとちくるって沈黙シリーズの人みたいになるのはまた別の話だ。どうせこの世のどぶさらいな野生の7人もいたなあ、なんでか農民を守る武士の数も7だ。いや、あれは6だ。ひとり農民が紛れ込んでた。銀行強盗ものだとジョルジャと教授とその仲間たちの黄金の七人か。七人の侍のリメイクで荒野の七人ってのもあった、マックィーンとかユルブリンナーが好きって人が多いけど、俺はやっぱりロバート・ヴォーンだな。ロバート・ヴォーンは宇宙の七人にも出てたな。社長が小学生のトライダーG7とか、岡田奈々、清野菜名、小松菜奈、森七菜、小林七郎と。あと何があるかな、ああ、蛭子命含めて七福神の7か。
カデちゃんが車を回してきた。お馴染みのハイエースだ。荷物を積み込みながら、和三郎はヒルヒルに尋ねた。
「7番は何が入っているんだ?」
「内緒です」
「場所柄、忍者装束とかシーフモードだと面白いな」
「ブブーっ。アレはですね忍野八海からの連想で、別に忍者の里があったわけじゃないんです。忍野八海は忍野村にある湧泉群を指しているんですよ。名前からの連想で富士急グループが忍者の里作っちゃったわけですよ」
「ラーメンのグザイのような名前の某忍者漫画の主人公の誕生日に開園してるっす」
カデちゃんが混ぜ返す。
あとはケンゾーとリンちゃんが来ればオールスター勢ぞろい。というかメンバー少ないなあ。
「そんなことないっすよ。紹介してないだけで、まだまだ8課の人間はいっぱいいます」
「なんだかポケモンとかデジモンみたいだな」
と言ってる傍からデジモンとかポケモンみたいなケンゾーとリンちゃんがやって来た。
なんだかリンちゃん機嫌が悪い。
「遅くなって済まない。出がけにリンとバナナはお菓子に含まれるのかという、遠足の永遠のテーマでもめてしまったんだ」
「ああー…ケンゾーはどう思うんだ?」
「お菓子だろ、甘いし、旨いし」
「じゃあ、リンちゃんはバナナはお菓子ではないと」
「るるるー!」
「和三盆はどう思うんだ?」
「いやだから、そんなスイーツな名前じゃないってば。俺はそうだなあ……。お菓子であるかそうでないかの違いって、加工されているか否かなんじゃない? 加工されていなければお菓子ではないと思うんだよね。だから、バナナはお菓子ではないと思う」
「るるるー! ……いるるぅっ!」
やったーと喜んだリンちゃんが、和三郎の肩に鎮座ましましたシュタ公を発見した。
「いるるるるるぅ~~」
「いあっ いあっ」
なんだなんだ?
キマイラみたいに喋るゴブリン対旧支配者崇拝してる人みたいにいあいあ言うクマって、なんだこりゃあ?
しばし見つめあう、リンちゃんとシュタ公。リンちゃんは背負っていたリュックを肩から外すと、中からバナナを取り出した。恐る恐る俺の肩の上に乗るクマ公に近づけた。両手で受け取ったシュタ公は、魚介ソーセージを器用に剝いた前回宜しく、バナナの皮を丁寧に剥くと、わしわしとバナナを食べ始めた。
「いあっ いあっ」
うまいうまいとあっという間にたいらげた。
「るるるー」
リンちゃんもちょっとうれしそう。
「リンちゃん、あとでシュタ公が食った分はお返しするからな。紹介が後になったけど、こいつはシュタ公。次元の狭間に弾き飛ばされて、こっちの世界にやって来た転移クマだ。そんで、このコがリンちゃん。かわいい顔してゴブリンなんだよ。百トン力のエネルギーの持ち主だ」
和三郎の適当な紹介に素直にうなずきあう二人なのでした。
富士山に向かう前に力尽きた。
中央高速を通っていく予定。途中のサービスエリアでいろいろ食べます。