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ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
八雲式端末 其の弐
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138 シバテツとエウレカ

間が空いてしまい申し訳ない。

仕事は忙しくなってきたのもあるのだけど、いろいろちょっと考えることもあって筆が重くなっていたのだと思う。吹っ切れたわけではないけど、書いてみようと思ったわけです。どこへ行くかわかんないけど、お付き合いください。

「真っ黒いの、持ってるだろ?」

毒島伽緒子は両手で人差し指でカートリッジの大きさを宙に描き、呼応するように師匠は無造作に手を差し出す。こっちへ渡せということなのだろう。しかし、道筋が視えるというのは

「なんか反則っぽいっす」

シバテツは郁さんが言うところの救世主であろう師匠の掌をみつめながら、頭の中の言葉がそのまま漏れ出していた。

「うん、俺も反則だと思う。でもさ、ただ視えるだけなんだ。

便利なようで便利じゃない。それはなにかとたずねたら、豊竹屋節右衛門もびっくりというね。

どうやらこれが原因らしいとか、こいつが犯人らしいとか、争いの素はこれだとかさ。なんでそうなったかっていう部分ははっきりとわかんないままね。そのまま事件解決にはならなくってさ。しょうがないからその道筋に至るまでを証拠集めながら、穴埋めしていくわけ。

だからさ、今の段階だとシバテツが黒いカートリッジを持っているという結論はわかるんだけど、どうしてカートリッジを手に入れたか、シバテツがどうしてこの件に巻き込まれたかとか、そこはいろいろ調べなくっちゃならない」

それに欲しくて得たものでもない。知らぬうちに芽生えた力だ。おそらく並行世界を行ったり来たりしたせいだと思う。

「えーと、俺がそのカートリッジを持っているということは確定なんですね?」

「うん。確定事項。そもそもの依頼が、そのカートリッジの行方だったから。俺の力はシバテツくんを見つけ出した。でも、この能力はポンコツだから、鴨居華が何処から手に入れたかまではわからない」

「鴨居っていうのか。あー、店の客としてのハナしか知らないんです。見附さんにこれはヤバいって言われてから、ハナと連絡を取ろうとしたんすけど、全然連絡取れなくって。俺はほんとに店にいたハナしか知らないんだと痛感したっす」

もっといろいろ知ろうとするべきだったのかも知れない。どこかでいろんなことを全部諦めていたんだろう。あとは臆病になっていた。知らないことに触れたら自分の世界は広がるだろうことは解っている。オカルト絡みは面白がって踏み込んでいたのに、自分のメンタルに直結する物事には背を向けていたんだろう。居るだけで回りが明るくなる。そんな眩しいハナのことを観ているのは楽しかったけど、そこに踏み込んでいく勇気は無かったんだ。

「いや、無いと思ったんだ」

また独り言が声になって洩れてしまう。

「シバテツ兄さん、感情駄々洩れで面白いにゃー」

毒島伽緒子が混ぜ返し、師匠に軽く頭を小突かれている。師匠がグラスを飲み干した。

「クラーケンをお代わり」

師匠の声に応じて、クラーケンのロックを拵える。グラスを師匠に返す。その横にごとりとカートリッジを置いた。

「シリアルナンバーは調べたんですけど、このメーカーからこんなカートリッジ出てないんですよ」

師匠は目の前に来た黒いカートリッジを見つめる。

「そりゃそうだろう。この黒い奴はこの世界の代物ではないと思うよ」

ああ、鴨居華に会いたい。

シバテツは強く想う。

「Gohst Killer」鑑賞。髙石あかりはやっぱりすごいなあ。至福だなあ。

ミーガン2が上映中止になったみたいだが、ああゆうトンチキなお話は、意外と日本ではヒットしそうな気がしたんだけどなあ。もったいない気がする。

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