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ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
八雲式端末 其の弐
138/144

134 シバテツ ハナのことを考える

八雲式端末。一区切りと思ったけど、もう少し続くか。

滞りなく通ずること。転じて必要に応じて自在に処理すること。必要なモノや金銭を都合すること。

ミネギシがシバテツに囁いた「融通」の意味である。

「お早いご決断をです」

そう言ってミネギシは名刺を置く。

「嶺岸右子」

名前だけがプリントされ、その下にQRコードが添えられている。

ミネギシはするするっと退場していった。


シバテツはカウンターに手をつき、大きく息を吐きだしてしな垂れた。

どっと汗が噴き出した。嫌な汗である。

カートリッジを寄こせと恐喝されたわけではない。あくまでお願いされただけである。

「融通」という言葉で。シバテツお前の判断で自在に処理しろと。

Web辞書ででてきた「処理」という表示が、とっても嫌なモノを想起させてくれる。ミネギシはそんなことまで考えに入れて「融通」の言葉を使っている気がした。


≪預かりモノなんでしょ? 持ってきた人に返さないとダメよ≫


見附ママの言葉が過る。真っ黒いカートリッジは悪いことを呼び込む。すでに本当の持ち主はこの世の人ではないという。持ってきた人に返すということはハナに返すということだ。ハナはカートリッジを俺に手渡してから店にまったく顔を出さなくなった。

「そうだった。俺はハナのことを全く知らないんだった」

さて整理するまでもないが整理してみる。


『私も昔からハナだったな』

『本名?』

『そうだよ。ハナはハナ』


そもそもハナのフルネームを知らない。店でバーテンと客として遭うだけなので、それで十分だった。シバテツは客の素性は我関せずを貫いていた。喋りたくなれば客が自然と話し出すし、まあそれも必要最低限で良いと思っていた。だからシバテツはハナの携帯の連絡先は知らない。

比較的ハナと親しかった連中に確認したが、SNSも何もやっていないと言う。

ハナはこの店以外に顔を出す店はあったのか?

それすらもわからない。

ハナに関して知っているのは、いつも明るくて、彼女がやって来ただけで店の空気が変わったこと。ホーセズネックの練習にずっと付き合ってくれていること。

そんなもんだ。あとはなるべく自分の正体は明かさないようにしていたこと。ほんとに自分の正体がばれてしまうと何か問題があったのだろうか。


ああ。

早急にハナを探す必要がある。

でもどうやって?

ミネギシは得体の知れない人くらいのイメージで今のところは書いてます。

がんばれ一般人シバテツ。彼がどこまで行動できるか、ハナの手掛かりを見つけてくれないと話が転がらないんだもん。


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