133 シバテツとミネギシ
とりあえずあげます。じくじくと後半書き足します。
ミネギシとの邂逅でどうするどうなるシバテツのはずなんだけどな。
累計ページビュー1万突破、ありがとうございます。
何だかよくわかんない話に付き合ってもらって、ほんとにありがとうございます。
2025/06/05 ミネギシの辺りを駆け足で追加。後でじくじく補強予定。
2025/06/06 ミネギシの容姿とお酒ネタが追加されたです。
2025/06/09 後半少し書き足し。座りがよくなったねえ。
暁裕次郎と那由多柚子はスタバの片隅で拍子抜けしていた。
あまりにも予想通りの展開過ぎたのである。
荒尾笊の指示通り、ポンコツ認定されたヤクモデバイスの復活の噂を探っていた。いろいろと取材をしてみるのだが、しかしまあ何も出てこないのである。
いや出てくることは出てくるのだ。自衛隊にとって都合の良いことしか出てこないのだ。
ヤクモデバイスの開発は陸上自衛隊が主導していた。やはり情報の統制は厳格にコントロールされているようだ。
以降同音。いかにヤクモデバイスがポンコツであったか、そういう話はみんな嬉々として話す。話したがる。そのポンコツが使い物になるらしい、そういう噂に関しては一切出てこない。美しいほどに出てこない。
復活を目論んでいるのであろう連中が、バレてもいいけど体裁は内密にことを進めていると推測が出来るくらいに、きれいさっぱり何も出てこないのだ。
「いや、予想通りの結果だったな」
「そうね。知られても良い情報はいくらでも出てくるけど、肝部分部分は出て来ないんだもの。なによりポンコツ作ってた開発スタッフとは全然アポ取れないし」
「避けられてるよな」
「避けられてるわねー」
暁裕次郎はオリエンタル マンゴー & ティー フラペチーノを勢いよく吸い込む。ずっずずずっずずーとマンゴーシロップとホイップクリームの山の一角が陥没していく。
激しく濃厚なマンゴーの甘味が脳髄を刺激する気がする。
「じゃあ、手段を変えてみよう」
「アポは取るわよ。逃げられないくらい追い詰めてね」
那由多柚子は那由多でチラックス ソーダ ストロベリーをずずーと吸い込む。たまらんフレーバーが鼻腔をくすぐった。
捜査7課の新人がスタバで悪だくみをしている頃。
シバテツは店で接客をしていた。まだ早い時間なので客は一人だけ。若い女の子と会話をしていた。猫背気味に座っている女の子は上背があった。店に入ってきたとき、ドアの梁に頭をぶつけそうだったくらい。背が高い。均整の取れた美しい体形を、ロングコートに隠しているとシバテツは推測した。こういうのは恵体って言うんだっけ? あれ、プロ野球選手をあざける言葉だったんだっけ? じゃあ、ナイスボデーとか言うのか。今、そんなことを言ったらセクハラだな。そんなちょっと邪な考えはぐっと飲みこんで、シバテツは席を勧めた。高身長の自分にコンプレックスのある人特有な、少し猫背な姿勢で女の子は席に着いた。
「ミネギシです」
女の子は席に着くとそう名乗ってぺこりとお辞儀をした。
「ああ、シバテツです……よろしく」
「グランドスラムをお願いです」
ミネギシはグランドスラムをリクエストした。
グランドスラムはスェーデン産の希少リキュール、スエディッシュ・パンチをベースにしたカクテル。その名の通り完全制覇の意味を持つ。今現在昔ながらのスエディッシュ・パンチは作られていない。その系統の代表格カールスハムス・フラッグパンチを使ってカクテルを作っていく。日本ではパンチと呼ばれているけど、正しいというかスエーデンの言葉に近い響きだとプンシュと呼ぶらしい。カウンターにグランドスラムをそっと置いた。
ミネギシはぺこりとしてから、グランドスラムをちびりとなめる。
しばし店内を眺めまわした後、シバテツに視線を移し
「こっちは初めて来たのです。いつもは駅の賑やかな方です」
と笑った。
「まあねえ、あっちは大きい屋根付きの商店街もあるからね。自然と流れは駅南に向かうよね。こっちは住宅街だから」
シバテツがそこそこ流暢に会話をしている。めずらしく喋っている。そんな夜もあるかと思い直す。どんな仕事をしているのかシバテツはミネギシに尋ねた。
どうしようか本当のことを言おうか、少し迷った後にミネギシは口を開いた。
「まあコーディネーターみたいなことかなです。調整役です」
ファッションコーディネーターとかそういう仕事なのだろうとシバテツは漠然と考える。
「いま、あるところの調整役をしているです。そこは物を作っているところです」
「じゃあ、今はモノ作りのコーディネーターをしているのか」
「そうです。そこが作っているもので、足りないものがあるです。
それをシバテツに融通してほしいです」
俺が融通する? 何を、俺自身の持ち物と言ってもほぼ何にもない。値の張るものも持っていないし、そもそもそういうものに興味がない。店に来て仕込みして、お客さんに酒を提供して、後片付けして、家に帰ってすぐに寝る。俺にとって大切なモノといえば、店に居て仕事をしている時間くらいか。ほんとにそれ以外に興味がないものな。
「俺が融通できるもの?」
「はいです。例えばこんな大きさの金属製のものなのです」
ミネギシはそう言うと両方の人差し指で四角を描いた。
おいおいおい。
ゾクッと背筋が寒くなるなんて状態を、ホラー映画なんかで「誰かが俺の墓の上を歩いている」っていうけども、今まさに自分に起きていることがそれだとシバテツは考えた。
ミネギシが融通しろと言っている代物は、
どうやらちょうどハナが預けたカートリッジくらいの大きさのものらしい。
『ナインパズル』を観ております。今日最終回まで配信されるので、観ちゃうんだろうなあ最後まで。というわけで最後まで観ました。面白かったなあ。
そんで、キム・ダミがとっても可愛いのー。
なんとなく見始めた『ハイ・ポテンシャル』もなかなか面白い。『プリズンブレイク』ももう一度観なおしておきたいなあ。
と言いながら『カラオケへ行こ』を観てしまう。「紅」がよろしいかった。