124 シュタさぶらうとヒルヒルのどうなっちゃってんだよ漫談
なんか横滑りして愛はおしゃれじゃないネタです。
2025/04/30 サブタイトルを修正、あと岡村靖幸について少しというかかなり追記する。
「るるる るーるるる るるーるるるるるる♪」
リンちゃんが岡村靖幸8枚目のシングル『だいすき』を鼻歌で歌っている。現在リンちゃんは多脚人面戦車がわしわしと這い上がってきた林道跡から、なぎ倒された木を除去する作業を9号義肢装着のヒルヒルとシュタさぶらうと行っている。
そのまま、旧林道を利用してさらに奥へ進もうというのだ。
「リンちゃんの選曲もわかんないよなあ。あれはケンゾーの影響なの?」
作業をしながらシュタさぶらうがヒルヒルに声をかけた。
「うーん、ケンゾーさんはネグレクトの親持ちですからねえ。母親に愛されたい強い想いが斜め右上に炸裂して、現在の最強召喚士の地位に至ってるくらいですから、あんまり音楽とかには明るくないんじゃないかなア」
「でも、ほら、お姉ちゃんも大好き過ぎて、リンちゃんの形状は幼いころのお姉ちゃんと瓜二つなんでしょ? お姉ちゃんのことを思いすぎて、左斜め下で炸裂した結果、リンちゃんのセレクションが変なことになってるとか」
「ああ、まあ、そうか、お姉ちゃんも大好きだったかあ……」
「我が主をディスるのも大概にしてね」
アルケミーがぬーっと現れた。しかもその背中にはケンゾーが跨っている。
「いやあ、すまん。リンちゃんの選曲センスがあまりにも玄人はだしだもんでつい……」
「うん、構わないよ。母親に愛されたくてカードの扱いが上手くなったのも事実だから。リンちゃんの容姿は……うーん」
ケンゾーが顎に手を当てて頭を傾げてしばし沈黙してしまった。
「俺、そんなに姉ちゃんのこと好きかなあ?」
と聞かれてもシュタさぶらうもヒルヒルも、ケンゾーのお姉ちゃんに会ったことはない。返答に困ってしまうのだ。
「るるるるるう るるるるるるるる るるるるるるお♪」
「いいよねえ。『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』」
リンちゃんが鼻歌を変えてきた。
「なんつうか、あの青春の一場面を切り取ったメロディライン、あきらめない気持ちを謳った後で、『青春って 123 ジャンプ』だもんなあ。恥ずかしがることもせず堂々と歌い上げちゃうんだよ。『暴れまくってる情熱』! もう天才だよなあ」
青春の苦悩あるあるを歌わせたら右に出る者がない、盗んだバイクで走りだしたり、真夜中に校舎の窓ガラス割ったりする尾崎豊と同じ時代から活躍していた岡村靖幸。実際、ライブで尾崎とコラボも行っているし、青春の何たるか、核心を突くのは尾崎と同じ匂いを持っているのだろう。
「尾崎豊の真正直な青春賛歌も心打つものがあるけどさ、岡村靖幸の場合、『だいすき』の艶めかしい歌唱に子供のコーラスをかぶせるセンス、そういう気持ち悪いというか、居心地は悪いんだけど、目が離せない魅力があるよなあ」
「『ハレンチ』とか『聖書』とか、当時赤裸々にあの歌詞『実際青春してるし背は179』とうたいあげちゃう勇気! もう題材もさることながら、現在にコミットしてるのはすごい!」
シュタさぶらうの絶賛に、ヒルヒルがうひゃひゃと同意する。
ケンゾーはそんな二人のいつものやり取りを、平らな視線で眺めた後、口を開いた。
「林道まで通れるようにするんでしょ? 人数いた方がいいなら、役に立ちそうなコを召喚んでみようか?」
「え、本当? いやあ助かるなあ。でも、ケンゾー、召喚びだすモンスターの名前、どうせ憶えてないんでしょ?」
「うん。でも手がかりなら知ってるよ。ゲオルグ・アグリコラが言い出しっぺだったと思う」
「多分、それノームだと思うんだけどさ、やつらいたずらしかしないし、どっちかというと坑道なんかの穴倉に出没するんじゃなかったか。我々が今欲している整地作業なんかは手伝ってくれないと思うぞ」
「『ミームいろいろゆめのたび』ですよね、電電公社がスポンサーだった、科学啓蒙アニメ!」
「ヒルヒル、それも違うぞ」
「あー、なんかそのチーキーベアな姿見なのに、和三郎の声で否定されるのは、とってもとってもライオンだー♪ じゃなくってとってもとおっても、モヤモヤとするんですけど!」
そういえばシュタ公をキグルミにしたまんまなんだけど。怪力で以て樹木をなぎ倒している最終だったりもする。今はいいんだけどさ、このまんまってことはないよね?
『いあっ!』
頭の中で陽気なシュタ公の声が響く。肯定なのか否定なのか判然としない。
解除の方法ってどうするんだろう?
本筋はこんな感じで脱線島倉千代子なまま進んでいきます。