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ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
海百合からの挑戦 青木ヶ原樹海 暗黒舞踏変
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114 二代目天中軒雲月は七色の声を持っていた

すっかり全然すすまない。さすがの和三郎だよ。

「宵闇と無窮丸」https://ncode.syosetu.com/n6091jy/

始めました。こっちも見てね。

「あんた泣いてんのネ」

「だから云ったじゃないの♪」

ああ、アラクネーとヒルヒルが楽しそうに、松山恵子の「だから云ったじゃないの」を歌っている。

「ケンゾー君。僕のアラクネーに対するイメージが今、音を立てて崩れてきているよ。ガラガラガラーッと」

「へー。どうしてさ?」

「アラクネーだよ。アラクネー。アラクネーと聞いて思い浮かべるイメージは?」

ケンゾーはぼうっと考える。その横でリンちゃんも顎に指をあてて考えるふりをしている。

「蜘蛛のモンスター」

「聞いた私がばかだったよ。

アラクネーは端正な顔の美女なの! その絶世の美女の上半身に蜘蛛の身体を持つ乙女! そんでもって、プライドが高い、近寄りがたい雰囲気を纏っている、仕事ができる美人女上司タイプ。そんなところが世間一般のアラクネーのイメージというものだよ」

和三郎がまくし立てる。知らないうちに話を聞いていた中島敦と白糸台は大きく頷いている。やっぱり吉田警察が寄こしてきたのはこの二人だった。

「エロ同人だったら、ショタ食べたり、わからせ対象だよな!」

嬉しそうに白糸台がダメな話題をふってきたため、中島敦にどつかれている。

「うん。和三盆はアラクネーがパブリックイメージから逸脱して来てると言いたいんだね」

ケンゾーが頷きながら答えた。

「フラワーズ・オブ・ロマンス!

そうなんですよ、川崎さん!(ケンゾーはこのネタを知らず、きょとんとしている)

アサルトライフルが大好きなのはまあ許そう。こないだ召喚ばれた時に東京コミックショウに精通してて、お笑い好きなのがわかったのだけどね。これが自分としてはかなり衝撃だったんだよ。しかも今回はボーイズスタイルに浪曲ショウと、玄人はだしのセレクトでダメ押しだよ!」

「ショパン猪狩に宮川左近ときたもんだ」

「本当だよ。地球の上に朝が来たら、その裏側は夜だろうってくらいにね」

二人の会話に割って入ったのがさっきまで、アラクネーと松山恵子を歌っていたヒルヒルだった。

「西の国ならヨーロッパぁえぇ~

東の国なら東洋と~♪

灘康次とモダンカンカンの出囃子ですね! でもねこれってボーイズスタイルの産みの親、あきれたぼういずの川田晴久の持ち歌『地球の上に朝が来る』なの知ってました?」

「うん。だって灘康次は川田晴久のお弟子さんだもの」

なんで知っているんだよっというように和三郎は一瞬だけ、ヒルヒルにらみつけられた。傍から見てるとどっちもどっちなのだけど。


そろそろ全員集まったようである。移動前に署長から一言挨拶があるらしい。みんなそちらへ移動を開始した。

「アラクネーは一番誰が好きなんだい?」

和三郎が移動しながら話しかけた。

「うーん、そうねえ

オーソドックスだけど、玉川カルテットの二葉しげるかなあ」

おおー。四代目天中軒雲月に師事したさすがの歌声の持ち主。なんたってコブシ回しが堪らんのだよねえ。

新興快速部隊とかモダンカンカンとか紐解きだしたらどんどん深みにはまっていくよ。これはやばいなあ。

歌謡曲へと変貌を遂げていく礎にやっぱり浪曲っていたのだねえ。

しかし、伊丹秀子はゴイゴイスー!

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