表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
御仏アブダクション 何かが空をやってくる
11/135

11 和三郎 祓の神を宮崎県から呼ぶ

さあ、ほんとにネタがつきたぞ。

「次はっ どうする?」

「座標固定するので、待ってください!」

「座標ぉ?」


ヒルヒルは弓を射る体制を整える。脚の位置を目視しながら一番ちょうどよい位置へ、脚をずりずりと動かしていく。


「アンカー起動します」


ヒルヒルの声に呼応して、両足の脹脛と下腿部に切れ目が走った。先端にスパイクの着いたアンカーが顔を覗かせる。途中まで開いたところでスパイクが床面に向くように、くるりとアンカーが回転する。

そこからは圧縮空気を利用しているのか、ものすごい勢いでアンカーがコンクリートの床に打ち下ろされた。鈍い振動を発しながらスパイクが床にめり込んでいく。


「座標固定完了。

更新準備……

ああっ

角隠し忘れた!


和三郎さんっ」

「なんだっ?」

「祓詞をお願いします!」

「はらえ…こと…ば?」


いや、そんなの知らな……くないな。

それ、俺、知ってる。

なぜ?


すっくと立ちあがった俺は、淀みなく祓詞を唱いだした。

えーなに? これ?

そんな隠しコマンドあり?


()けまくも(かしこ)

伊邪那岐大神(いざなぎのおほかみ)

筑紫(つくし)日向(ひむか)(たちばな)

小戸(をど)阿波岐原(あはぎはら)に、

御禊(みそぎ)(はら)(たま)ひし時に

()()せる

祓戸(はらへど)大神等(おほかみたち)

(もろもろ)禍事(まがごと)(つみ)(けがれ)

有らむをば、

(はら)(たま)

(きよ)(たま)へと(まを)す事を

聞食(きこしめ)せと、

(かしこ)(かしこ)(まを)す」


日本を創ったイザナギの神様が死の穢れを落としたのが、

筑紫(つくし)日向(ひむか)(たちばな)

小戸(をど)阿波岐原(あはぎはら)

という場所。その時、祓いの神様が大量に生まれたという。


以降、神様に何かお願いするときは、祓の神様をお呼びして、

現世で人の身に引っ付いた、穢れやらなにやら悪いものを祓っていただく。

すると数舜の間、人間でも生身のまま、神様と同じ地平に立つことができて、

願いを届けることが可能となる。


神様と通信可能状態を作った。


ヒルヒルが破魔矢を構えた。

ヒルヒルの願いが受信されたのか三つ柏の紋が異様に輝きだした。


「ワサワサも祈って!」

「ワサワサってなんだよ。

いや、祈るけどさ」


(はら)(たま)(きよ)(たま)

(はら)(たま)(きよ)(たま)

(はら)(たま)(きよ)(たま)

(はら)(たま)(きよ)(たま)へ」


「破っ!」


裂帛の気合と共に破魔矢が射られた。


ごおおおっと風が鳴く。

ああ

発射プロセスはなんだかカッコいいなあ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ