104 和三郎 背蓮に謝られる
あああああああ
年末で駆け込みみたいな、超多忙的な。
背蓮が詫びるだけなのに、なんで筆が進まんのよー!
2024/12/24 メニー苦しみます。散々苦労す。後半を加筆。和三郎がなにやら出来るコの片鱗を見せてますねえ。こんなコでは無かった気がするんですけど。
シオマネキングバージョンのヒルヒルが調子に乗って、両腕共に白いヒョロヒョロに付け替えていた。ニコニコの笑顔で何をやるかと言えば。
「ウェーブ!」
器用にヒョロヒョロの長い腕をゆりゅりゅと揺らして、ダンスのウェーブを披露する。
「うまいもんだね」
和三郎が紫煙を燻らせながら微笑む。そこへ近づいてくる人影がある。背蓮張がきびきびと近づいてくる。
「開発様に緊急の依頼がありましたので、この後の樹海への攻勢に参加できなくなりました」
「そうか。残念だな。あのガトリングガン、最高なんだけどね」
ふーっと和三郎は煙を吐き出す。
「加えて鈴鹿様には、お詫び致したいことがございまして」
なんかあったかなあと和三郎は頸を傾げる。
「わたくしの弟的な存在に背蓮陳が居ります」
「へー。ちなみに背蓮の名前の由来はやはりセバスチャンなんだろう?」
戸惑いながら背蓮は肯定する。
「そのように聞き及んでおります。もっとも由緒正しき執事の名前だと聞かされております」
「やはり『アルプスの少女ハイジ』とか『ペリーヌ物語』あたりに端を発する執事=セバスチャン説を踏襲したんだね」
「はあ、詳しくは私も知りませんが」
「背蓮のモデルは1970年代アニメの方ってことさ。これが『メイちゃんの執事』とか『黒執事』の2006年のセバスチャンをモデルにしたのだったら、もっと若い仕様だったのかなと思ってさ」
残念な弟だとはいえ、腐っても公安、なのだろう。和三郎は背蓮が太陽に掌をかざしても、真っ赤な血潮が確認できないことを知っていたようだ。
「どちらかというと僕はギャリソンとかアルフレッドの方がすきでなんだけどね。ちょっとだけ残念だけど、まあいいや」
背蓮は少し警戒しながらも、流石ですと苦笑する。
「わたくしは開發恵様付の執事兼護衛として勤めているのですが、我が弟はそのう……多少グレーな仕事をしておりまして……」
「水門ニックの暗部みたいなもん?」
「はあ、まあ左様です」
「じゃあ、赤目にいるんでしょ、弟君は」
「話が早いですな。その弟がですね、鈴鹿様のお兄様である連様の確保に動きまして……」
「あれ、お姉ちゃんの行方わかったんだ。どこにいたの? やっぱり頼子ちゃんのところ?」
「左様でございます。ヌイグルミ惑星と呼ばれる世界に……」
ふむふむと和三郎がうなずく。
「この事件の前の事件で、一瞬だけヌイグルミ達に遭遇したんだけどね。そっちはヌイグルミ惑星って呼ばれてるのね。西方浄土よりは親しみがわくねえ」
「『御仏アブダクション』は聞き及んでおります」
「幽世と同等の世界だと思っていたんだけど、どうも違うみたいだね。死なないといけない世界だと思ったんだけどなあ。今度、姉ちゃんに聞いてみるかね」
「いあっいあっ!」
それだよそれっ! という感じでシュタ公が和三郎の肩の上で騒ぎ出す。まだ洗ってもらっていないのか、吉田うどんを食べた時の醤油のシミがついたままだ。
「お前さんがフリーズしてたのはこの件だったのか」
「いあっいあっ」
シュタ公が大きく頷く。
「お二方共にこちらの世界に御用があったようで、顕現されたところを……」
申し訳なさそうに背蓮が説明する。
「まあ、でもどうにもできなかったんでしょ?」
「左様でございます」
ふーむ。と和三郎はうなずいた。
「君が何かしたわけじゃなし、それはしょうがないよな。でもね、陳の方は放っておけないね。そっちのことは少し考えよう」
そう言った和三郎はいつもののほほんとした姿とは別物だった。禍々しい雰囲気を醸し出していた。
それに気づいた背蓮はいやな汗が噴き出る感覚を覚えた。そんな人間じみた機能は設定されてもいないのにも関わらず。
そんな背蓮の様子をシュタ公のガラスの眼玉が、冷ややかに捉えていた。
名探偵津田、名探偵津田による1の世界と2の世界の説明で大笑い。
というかちょっと前「マトリックス」の頃は、みんなきょとんとしてた
SF設定が市民権を得ているよ! と少しうれしくもあり悲しくもあり。