表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
八雲式端末/チーキーズ/師匠と私
105/144

101 和三郎 思索する シュタ公 暴食する

エーと後半追加します。

点描風なエピにしたいなあ。

2024/11/29 シュタ公のもぐもぐを追加。こいつは憂い奴じゃのう。

2024/12/02 誤字だけ直すつもりが、後半追加してしまう。

公安8課の面々は樹海監視塔爆破事件の実況見分というか、確認で出張ってきたわけだが。その道中で古のものの依頼で動いた鳰鳥達古傭兵團と戦闘となり、諏訪神社の神様を巻き込んで、談合坂SA下りで大立ち回りを演じた。その後、ツァトゥグアの眷属・ハンプアトゥの認識阻害で釈迦堂遺跡まで連れていかれてしまう。ハンプアトゥとの邂逅の後、一行は吉田のうどんを堪能しつつ、目的地である吉田警察署へ向かうのだった。時を同じくして樹海を囲むコンクリートの壁が破壊されて、そこから新種のアレソレ・白いヒョロヒョロが大挙出現。樹海防衛の要である本栖湖派出所への襲撃を開始する。吉田警察署でその知らせを聞いた8課面々は一路本栖湖派出所を目指して移動を開始する。

先に到着した諏訪神社の神様&古傭兵團&水門ニック研究所所員が、白いヒョロヒョロ迎撃に参戦。第7の義肢を装着したヒルヒルの活躍によって一旦はヒョロヒョロを撃退に成功。しかし、白いヒョロヒョロは集合体カマドウマに変形&巨大ハリガネムシの逆襲に遭う。混乱した戦況の中、本栖湖湖畔に謎の紅い城が出現し、和三郎とヒルヒルは城に幽閉されてしまう。

8課別働班の活躍で城を脱出した和三郎とヒルヒルは、カマドウマ変形種ロールもどきと対峙する。これをヒルヒルは『電気とミント』作戦によって殲滅し、ひと時の勝利を獲得するのだった。


和三郎は東京新宿をハイエースで出発してから起こった出来事を頭の中で反芻していた。何故吉田のうどんが出てきたかというと、今、目の前でリンちゃんが大きな笑みと共に、吉田のうどんをちゅるちゅると啜っているからであった。あまりの美味しさにリンちゃんがケンゾーにおねだりして買ってもらったらしい。待機中の機動隊隊員にゆでてもらったらしく、山盛りの吉田のうどんを生醤油とカボス(どこから持ってきた?)で、ちゅるんちゅるんと食している最中なのである。その様子をシュタ公がいあっいあっと羨ましそうに眺めている。

シュタ公に気づいたリンちゃんが、うどんを一本箸でつまんで、シュタ公の口元へ持っていった。

「あ、シュタ公、ちょま」

シュタ公は両手でうどんを挟むと、もぐっもぐっと口の中へすするように送り出していく。無論、醤油がだらだら垂れて身体は茶色くなっていく。

「やっぱりべちゃべちゃじゃないかあ。しかし、お前にとっては吉田のうどんは餅すすりになるのだなあ」

シュタ公はもぐっもぐっと呑み込みながら、和三郎を見上げてにっこりする。手は止まらない。

「まったく誰がお前を洗うと思っているのだ、シュタ公よ」

ちゅるんと吉田のうどんを呑み込んだシュタ公が快哉をあげる。

「いあっいあっ」

「いいか、シュタ公。お醤油の匂いをさせて良いのは吾郎ちゃんだけなんだからな」

「いあっいあっ」

いやわかってないだろ。

「るるー」

どうもシュタ公の食べてる仕草が可愛かったらしく、リンちゃんは再び吉田のうどんをシュタ公に持たせた。すかさずちゅるちゅるもぐっもぐっと啜りだす。

「シュタ、お前は食ったものは何処に行くんだ? ヌイグルミなのに人の食い物平気で食べてるけどさ。綿ぽこが詰まってるんだと思ったけど、身体の中身どうなってるんだ?」

シュタ公はもぐっもぐっとしながら頸を傾げる。

「まったく」

続けて和三郎が何か言いかけたのだが、シュタ公があらぬ方向を見つめて固まったことに気づき、言いよどんだ。口から半分うどんをぶら下げた状態で固まっている。和三郎の顔ととある方向に、交互に首を動かしている。

「なにかあったのか?」

富士の樹海で何事かが起こっていると、8課で最初に気づいたのはシュタ公だった。シュタ公は大きく頷くと何かをしゃべっているのだが、あいにく口がうどんでふさがっていてまったく内容が聞き取れない。

「樹海の時もこうだったよ。大きな事件なのか?」

シュタ公は首を横に振った。大きな事件が起きたわけではないが、どうも和三郎に関係した出来事が発生しているようだ。

「その様子だとお前の世界に関係ありだな?」

うんうんとシュタ公が頷く。少し遅れて口から出ている吉田のうどんがしなった。醤油が飛び散る。カボスの香りが鼻をくすぐった。さわやかだけど、和三郎のワイシャツにシミが出来上がった。

「くそっ、俺も洗わなくちゃダメになったじゃないか」

「いあーあ」

シュタ公が残念そうに和三郎を見つめる。いやいや、お前のせいだろと詰めそうになったが、和三郎はふっと脱力して椅子の背に持たれる。

リンちゃんがちゅるんもぐもぐと幸せそうな顔で、脚をじたばたじたばたしている。脚のじたばたでプロレスの殿堂後楽園ホールを思い出す和三郎はダメな弟だった。

「デビルさーん、やっちゃってくださーい」



ちょうどその時刻は、頼子ちゃんと連ちゃんがこちらの世界に出現した時刻だった。

吾郎ちゃんとは『時をかける少女』の堀川吾郎ですな。

「時をかける少女」エンディング。これだけは大林凄いなと思ったわけで。

https://www.youtube.com/watch?v=Onp2RJ2DuSg

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ