7.神様は急に生まれる
プシュー。
まるで狂った時計みたい。要所要所で存在感を示す黄色サボテン。この星は実に退屈でつまらない。
永遠の時間をへらへら笑いながら過ごすゾンビ。
砂地の荒野に生える二本の兵器。
あ、あと。どこかへ行ったっきりのゾンビ犬。
未熟な私のせいだけど、下手なことをすれば手に追えなくなるじゃないですか。……私はもう怖いのです。
ゾンビさんと兵器らがまた、星の裏側の闇世界から帰って参りました。地上では朝の時間帯です。
もう付きっきりで見守ることはしていません。労力をかけるだけ無駄と知っているので。
"ねえ裏側って誰か居る?"
それは。
それは不意にかけられる言葉でした。
"……は?"
突然です。ありえません。この宇宙空間にひとりの人間が現れていて、後ろから私に声をかけている。
そんなことは信じられませんでした。
"ねえって。裏側に誰かいる?"
その方は私に話しかけていました。なにせここには私しか存在しませんから。
"あ、裏側……。星の裏側には誰もいませんけど……"
"そっ。じゃあアタシそっちに回るから"
お洋服は召されておりません。悔しいくらいのふくよかなお胸を弾ませながら、その女性は二本の足で宇宙を歩いていきます。
"ちょ、ちょちょちょちょちょっと待って!"
"なに?"
"あなた誰ですか! どこから現れたんですか!"
女性は自分が神であると告げてから、こう言います。
"あんた。創造の神だろ?" と。
それ以上の情報はくれず。神は星の裏側へ消えました。