3.兵器が出来た
砂地のこの星に緑が欲しいと思った私です。でも失敗するかもしれないと思うと尻込みしてしまいます。
あれから私の力で微風を吹かせましたので、ボロ雑巾(ゾンビ3、ゾンビ犬1)はわずかになびいていますし。
緑、そう、グリーンは……ええっと。
失敗したくない私は大規模な改造は遠慮して、鉢植えサイズのミニサボテンを思い浮かべてみることにしました。
"ええい!"
スポンッ。
そうして砂漠の真ん中に現れる鉢植え。ちゃんと思い描いた通りのミニサボテンです。
その大きさは、地面に散らばったゾンビと比較することでよく分かりました。
直径はゾンビが100人並べても足りそうになく。
長さは図りようがありませんが、直径の5倍はありそう。
"ほ~ら失敗したあああ!"
宇宙から見たら手のひらサイズだったんですよ。地上から見たら超高層ビルでしょうけど。
砂地の星に新たなシンボルが完成です。立派なトゲが実に禍々しい。このサボテンはもはや兵器だと思います。
こんなにすっごい兵器が目の前に突然現れたのに、ゾンビさん達は見向きもしません。へにゃへにゃ砂地に寝転がって笑っているだけ。
"なんだこれ"
なんかもう匙を投げ出したいです。
"と、みせかけて、ほらよっ!"
スポンッ。何気なく放った私の力で砂地に1つの芽が生えます。見事に美しい、ごく常識的な双葉の芽ですよ。
"よし。もう私は何もしない。何もしない神なので"
難しく考えない。とにかく芽が出ろとだけ念じたのです。この芽がどんな成長をするのか分かりません。成長しないかもしれません。
"おや?"
しかしゾンビの方に思わぬ反応が。
三人とも急にむくりと起き出して、よたよた歩いて謎の芽を取り囲むように集まってきました。