20.孤高の天才……その後
コトノギはくる日もくる日も工房にこもりきり。ひたすら物作りに徹しておりました。
その間まわりのゾンビさんたちは、様々な文化を構築していき社会を築き上げているのです。
コトノギだけは世間から取り残された男ゾンビだったのでした。技術は凄いけれど、次第に変わり者と言われて工房を覗きに来る足も止みました。
しかしそんな中、ひとりだけ通い続ける女性ゾンビがいます。隠れ小屋の扉からコトノギをうっとり覗く目。それは度々現れるリビアでした。
リビアは偏差値の高い異性を見分けるのが得意だと見えます。実験や発明品よりも、ただ一心にコトノギだけを見つめておりました。
そして色仕掛けをかけます。
衣服をチラチラさせて魅惑するのです。
コトノギはそんなリビアを一瞥。美しいと思ったのか、手元の釘を地面にばらまくという彼ならぬ動揺がうかがえました。
彼女の誘惑は私からしてみれば「呪い」
今のところ百発百中です。必ず狙った男の子供を孕むことになります。
例外無くコトノギとも良い感じに。このまま夫婦になるのかと、つまらない思いをしていた私。
でも翌朝になれば覆されました。
人気の無かった工房で何やら騒ぎになっていると発見します。それはどうやらコトノギが突然姿を消したらしいのです。
彼の行動は誰も見ておりません。私も。
おそらく夜のうちにどこかへ行ってしまったのです。
ですが私は神様なのでコトノギを探し出せました。
コトノギは工房から遠く離れた砂漠の地に穴を掘り、岩盤の中に閉じこもってしまったのです。
それから彼はずいぶんと長い間、姿を現しませんでした。
時がきて、私がコトノギを久しく見たのは、それから幾千年もの時間が過ぎた後のこと……。




