18.サボテン登頂団……その後
サボテンの頂上まであともう少しというところ。
頂上付近は風が強くて、テアとメリックは互いに手を繋いで耐えています。
私が風を止ませてあげても良いんですけど、間違ってまた嵐にしちゃうと可哀想だから何もしません。
もう何もしない神って誓ってますしね。
勝負師のテア。勉強家のメリック。二人は毎日一緒に走りながら、互いの合わない価値観にヤキモキしていました。
ただひとつ。この山を登ってみたいという気持ちだけは同じシンパシーを感じたみたいです。
勝負師として山にも己にも勝つ。
勉強家として知らないことを体験する。
それがついに成し遂げられる瞬間でした。
二人はこの星の最も高い場所で座ります。
そこで半年間ほど太陽と月が巡るのを眺めていました。
地上には家々とゾンビさんたちがいます。
彼らは今だけ、特別な達成感を味わっていることでしょう。
テアとメリックの挑戦は、オソードという弟子のゾンビ少年によって記録されました。
はじめての物語として多く広がり、壁画にもなりました。
二人の絆はゾンビさんたちの憧れになり、争いとは逆の平和の象徴として目指す指針にしたのです。
次は丸サボテンに登ると決めた登頂団。
そっちは黄色の花を付けるサボテン。体に悪そうな気体を出している方です。
しかし新たなロマンを求める登頂団には、どんな危険で未知なものも邪魔になりません。
きっとまた素敵な物語をつくることでしょう。