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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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97 研究開発部の4人

 さて、一台の車がとある研究施設に向かって走っていた。

 運転席では第3研究開発部(以下第3研)主任の白鳥マイが何か考え事をしながら前方を見ていた。


 その隣りの助手席には第2研主任の卯月うづきカナメが不安げな顔をして後ろを気にしていた。

 後部座席には右側に第4研の熊谷トシロウ、左側には第5研の午藤ごとうコウジが座っていた。


 熊谷はぶつくさとぼやいた。

「こんな山中下さんちゅうくんだりまで来る必要あんのかねえ。」


 午藤コウジが前方を見ながら熊谷を戒めた。

「文句を言うな。」


 熊谷はぶう垂れる面持ちでつぶやいた。

「何だい。やるってのか?」


 卯月は熊谷を静かに叱った。

「もう、やめてくださいよ。こんな狭いところで!」


 熊谷は愛想笑いをした。

「ははは。済まないねカナメちゃん。こいつが俺に楯突くもんだからよ、つい。」


 卯月は言い返した。

「柔道四段に勝てるわけないでしょう? まったくもう、いい年して……。」


 午藤もポツリと皮肉を言った。

「卯月、技あり。」


 熊谷はプイと窓の外の方を向いた。

「へん、言ってろ。」


 四人が向かう先はメインQCのある本社の施設だ。

 先日、卯月が夏フェスの会場に行った際、芸能事務所ツイストーラスの社員である栗原ユウヒから一時的にミカとルクに繋がらなかったとの話しを聞いた。


 卯月は万が一を思い研究室に戻ってから調査してみたが、メインQCの『システムA03』には栗原との通信以外何の痕跡も見つからなかったのだ。

 『システムA03』というのはQCの区分けでミカとルクが取り込まれているエリアだ。


 そこで卯月は白鳥に相談した。

 白鳥はいつも皆に頼られている才女であった。


 白鳥が主任を務める第3研はAIとQCを統合、設計、開発する部署となっていた。

 白鳥は早速、熊谷と午藤に声を掛け現場に急行することにしたのだ。


 熊谷と午藤が主任を務める第4研と第5研はそれぞれAIとQCの開発を担当しており、それをまとめているのが第3研という感じだ。


 熊谷と午藤の二人は学生の頃から何かと張り合う仲であり、その間に挟まりいつも文句を言っているのが第2研の卯月というわけだ。

 因みに卯月の第2研はイベントなどを計画してボカロの成長を促進する等している部署だ。


 そうゆうことで特に仲がいいわけでもないが、この四人が一緒に行動することは多い。

 但し三人は白鳥をとても信頼しているし、白鳥も三人が嫌いというわけではなかった。


 熊谷は元気な声で尋ねた。

「おお、そろそろ着くんじゃねえか? ええと、どっかコンビニないかな。」


 卯月は怪訝けげんな顔で言った。

「まさか飲む気じゃないでしょうね。」


 熊谷はとぼけた。

「いや、ちょっと小腹がすいたんじゃないかと思ってな。みんなが。」


 午藤が言った。

「いや、それよりサッサと用件を済ましてしまおう。」


 熊谷がぶつくさとしつこく聞いて来る。

「え、みんな大丈夫なの? お腹減ってないの? あ、ほら。あそこにコンビにあるじゃんよ。」


 卯月は無表情で言った。

「あそこのコンビニお酒売ってませんよ。」


 熊谷は残念そうに小声で応えた。

「あ、じゃあいいや。」


 卯月は白鳥に質問した。

「今日はあっちに着いてからどうするんですか?」


 白鳥は答えた。

「QCのエリアごとに配備されてるセンサーBOXのデータを回収します。後は変わった所がないか四人で探します。」


 卯月は尋ねた。

「センサーBOXのデータってわざわざ取りに行かなくちゃ行けないんですか?」


 白鳥はうなずいた。

「はい。あれはネットがクラッキングされたときなんかに対応する為のものですから、ネットにつなぐわけにはいかないんです。それに極秘資料なので権限がないと取り出すことができませんから郵送もできないというわけです。」


 卯月は納得した。

「成程、言われてみればその通りですね。」


 白鳥は話しを続けた。

「まあ、データと言ってもラインの外側から熱反応や電気反応を計測して何時いつどれくらいの時間、交信が行われたかってこと位しか分からないんですけどね。」


 卯月は理解した。

「確かにそれならネット内でどんな操作が行われたとしても直接現場に来なければBOXのデータは改ざんできないってことですね。」


 熊谷はニヤケながら白鳥の方を見た。

「やっぱり白鳥さんは頼りになるなあ。な、カナメちゃん。」


 卯月は熊谷をミラー越しににらんだ。

「黙れアル中!」


 午藤は熊谷の肩をポンと叩きながら言った。

「卯月、技あり一本。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 ナミエ … 正式名称C73EHT-R。AIポリスの特殊捜査隊隊長。

      新米ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 卯月カナメ … 第2研究開発部主任。

 白鳥マイ … 第3研究開発部主任。天才。息子1人

 熊谷トシロウ … 第4研究開発部主任。妻死去。息子1人娘1人。酒好き

 午藤コウジ … 第5研究開発部主任。柔道4段。妻、息子1人

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子

 未木タツヤ … 第7研究開発部主任。バンドVo.、ビリヤード

 龍崎アヤネ … 第8研究開発部主任。文句大好き。彼氏あり


【株式会社ツイストーラス】フィナとファランクスが所属する芸能事務所

 小橋レイナ … 社長、代表取締役

 黒木ナナ … 副社長。1児の母

 須賀ユウタ … 専務。2児の父。車とバイク好き

 佐山クロウ … 営業担当。体格がいい

 大村マツリ … 営業担当。ナイスバディ。おしゃれ

 下尾ライト … 制作担当。プラモデルが好き

 竹ヒマリ … 制作担当。絵やイラストがうまい

 栗原ユウヒ … イベント担当。妹と同居。バツ1

 小宮山ネイネ … キャスティング担当。投資家

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