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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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90 蟹江さんと緑

 緑は話しを続けた。

「まだほとんどの方にご挨拶もできなくて……。あ、お一人だけ。ニーケさんがあちらの方からおでになったので一瞬ですがご挨拶できました。」


 蟹江は厳しい口調で問い詰めた。

「まだこちらの質問にはすべて答えていただいてない様ですが。」


 緑はそれについて弁解した。

「私たちはあなた方に悪さをするつもりはありません。ただ、山本さんだけは理由わけあって回収しなければならないのです。その事でご迷惑をおかけしたことは遅まきながら謝罪します。申し訳ございませんでした。」


 蟹江は緑に質問した。

「一体あなた方は誰なんですか? 人間なんですか?」


 緑はその質問に答えた。

「そうですね。もしフィナさんを人間とするなら私たち『緑と赤』も人間と言えますかね。」


 蟹江は少し考えてから尋ねた。

「人間というのはこの星の人間ということですか?」

 蛯名は緊張の面持ちで両者のやり取りを聞いていた。


 その問いに対して緑は返答した。

「これまた難しい質問ですね。そうとも言えるし、そうじゃないとも言えます。別の宇宙、外宇宙に存在する地球人とでも言いましょうか。」


 蟹江は訳の分からない話にイラつきながらも話しを進めた。

「その別の宇宙から来たあなた方がこの地球に何の用ですか?」


 言ってる途中蟹江はハタと気が付いた。

 私たちだけでこんな話しを進めちゃったらマズいのではと……。


 緑は会話を中断することを提案した。

「今日はこれぐらいにしておきましょう。そろそろフィナさんから連絡が来ますよ。」


 蟹江は慌てて肝心の質問をした。

「あなたたちは私たちの思考を読み取れるの?」


 緑はその問いに対して返事をした。

「思考を読み取る……そんな大層なものではありませんよ。それにこの地球にしたって……まあ、話しが過ぎた様です。これ位にしておきましょう。あ、ニーケさんにはフィナさんに連絡を取らせる為、少々怖い映像を見せてしまったので謝っておいてください。ええと、来週の水曜日午前10時10分になったら連絡します。それでは。」


 蟹江が質問する前に電話は切られてしまった。

 蟹江は怪訝けげんな顔をしながら蛯名に尋ねた。

「ねえ、あいつら何で来週の水曜日私たちが本田さんに連絡する事知ってたんだろう……。」


 蛯名は考え込みながら返事をした。

「ええ、そうですね……。周りに監視カメラらしきものはありませんし……フィナさんのスキルでネットからの情報も封鎖されてる様ですから。」


 蟹江は少し落ち着きを取り戻して来た。

「取り敢えず今のところ人間に危害を加えるつもりはないみたいなこと言ってたけど……。」


 蛯名は眉をひそめた。

「ええ、ただ普通ではないですね。あれは……。」


 蟹江はその言葉に反応した。

「うん。普通じゃないのは分かるんだけど……あれじゃ実態がつかめないな。ちょっと整理しないと……。話しが意味不明過ぎる。」


 蛯名は少し心配そうな顔をした。

「彼女が言ってた内容を鵜呑うのみにするのなら、もしそんな事が実際にできるんだったら、それは私たちの想像をはるかに超えた科学力です。」


 蟹江は緑の言葉を思い出して少し安堵した様だ。

「そう……。まあ、フィナのスキルが効いてるってのが分かって一安心ひとあんしんではあるけど。えっとほら、あと何だっけ?」


 蛯名は印象に残った事を言い並べた。

「そうですね。私が蟹江さんに近づいたことを察知したり、本田さんとの連絡日時を言い当てたり……。」


 蟹江はそれを聞いて「そうそう」と思い出した。

「そうだ。さっき話ししてるうちに、私らだけでこんな大事な話しを進めちゃっていいのかしらって考えたのよ。その途端とたん向こうから話しを終わらせて来た。まるで次は本田さんたちを交えて話しましょうと言わんばかりに……。」


 蛯名はその場で考えた事を口にした。

「私たちの大脳が保持する情報を何らかの形で得る手段を持っているのかしら……。」


 蟹江は蛯名に恐る恐るたずねた。

「あなたそんなの聞いたことある? 本かなんかで読んだこととか……。」


 蛯名は少し考え込んだ。

「そうですね……。漫画やドラマのネタでは散見されますが、その根拠は超能力じみたものや脳波を測定するみたいな感じですかね……。実現性に乏しいと言いますか……。」


 蟹江は急に話を止めて何かを思い出そうとしている蛯名に話しかけた。

「そうよね。まだウソ発見器とか視神経からの映像記憶を取り出すって方が……。」


 その時デスクのパソコンに通信が入った。

「あ、フィナから連絡……。」

 二人は顔を見合わせたが、とにかくフィナと話してみることにした。

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【本田家】

 本田トオル … サナとサユリの父。国際宇宙ステーションの研究者

 本田サエコ … サナとサユリの母。国際宇宙ステーションの研究者


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 ナミエ … 正式名称C73EHT-R。AIポリスの特殊捜査隊隊長。

      新米ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子

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