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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
73/623

73 知らないと言う罪と知り過ぎる罠

 こいつはどえらい事ですよ!

「うおーい! どこ行ったーーーっ!?」


 私は布団の中や押入れの中を探しまくった。

「小さいから見つけにくい! これだから2.5頭身は……。」


 ゴミ箱に! ……もいねえか……。そうだ!

「『目標』の居場所を知りたい!」


 モニターに文字が走る。

≪目的遂行『自動リンク』。『解析』、『解読』より新スキル『検索』を生成及び発動。≫


 すると簡易モニターに我がの図面らしきものが映し出された。

「この赤い点滅が『目標』の居場所か……。ええと……。ん? ここは……。」

 寝室だよね。でも何処どこにもいないんだが……。


「もっと詳しくお願いします!」

 すると図面が立体図面となり、『目標』の位置が判明した。


「ここか~!」

 私はダッシュで玄関から外に出るとスキルを使って宙に浮いた。


 最近私は屋根を試しに増築していた。

 屋根と言っても「どんな感じなんだろ」と軽い気持ちで付けただけなので、とても簡素な代物であった。

 赤いゆるやかな斜面が只々(ただただ)広がっているだけの。


 『目標』は寝室の上に当たる場所にポツンと座っていた。

「あんな所に……。敵の罠か……?」

 私は警戒しながら『目標』に近づいた。


『目標』は図々しくも私に声を掛けて来た。

「やあ、フィナさん!」


 私は更に警戒を強めながら言った。

「山本一人? 他にはいない?」

「え、何言ってんですか? 私はここで休んでるだけですよ。」


 どうやら私は大きなミスを犯した様だ。

 私に「目標」を守る気はあっても……。

「山本! あなた、狙われてる自覚ないでしょ! この……。」


 山本は右手で屋根を軽くトントンと叩くと事もげに言った。

「まあまあ、座って座って。ほら、見てくださいよ。」


 山本は指を上空へ向けた。

「え?」


 まさか敵ではないだろうな……。

 私が夜空を見上げると、そこには降り注がんばかりのきらびやかな星々が輝いていた。


「ほらね、綺麗でしょ。」

 山本の言う通りだった。


 私は余りにも美しい夜空にしば見惚みとれてしまった。

 たまにシュッと走る流れ星は余りにも鮮やかであり、私の心をきつけた。


 ハッと我に返って辺りを見渡すと、山本が屋根に掛けてある梯子はしごの方に向かってトコトコ歩いていた。

 私が「戻るの?」と聞くと山本はチラッとこちらを振り向いた。


「私はもう見飽きたから部屋に戻りますわ。」

「見飽きたんかーい!」

 そう言うと山本は梯子を降りて行った。


 私は夜空を眺めながら、ふと山本の過去に思いをめぐらせた。

 考えてみればあいつってずっと一人だったんだよね。多分。


 寂しいとか孤独とか、感じないのかな……。

 ま、いいか。山本だし……。


 そもそも気付いてないんだろうな、孤独とかってもんに。

 知らない方がいい事もあるさ。


 私が居間に戻ると山本はソファーに寝転がってケツをポリポリ掻いていた。

 そしてテーブルの上には私が取っておいたプリンアラモードの残骸が寂しそうにたたずんでいた。

 私は山本をキンキンの氷結バリアーで守護することを即決した。

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