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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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70 研究開発部の人々

 蛯名さんもホッとしている様子だ。

「ちょっと待っててくださいね。今来ますから。」


「はい。了解しました。」

 会食じゃなかったのかな?


 蟹江さんがいつもの笑顔で画面に現れた。

「あ、先程はどうもね。あの後サナちゃん大丈夫だった?」

「はい。今のところは元気にしています。」

「ああ、良かった。心配だったから。」


「ありがとうございます。ところで蟹江さん、お食事は?」

「ああ、何か会社から連絡が来て先輩帰っちゃったのよ。今度おごるからとか言って……。」

「ああ、そうですか。でも助かりました。」

「何かあったの?」


 蛯名さんは蟹江さんに今までの話しをザっと説明してくれた。

「こんな感じでいいかしら。フィナさん。」

「はい、その通りです。」


 蟹江さんは少しの間真面目な顔をして考えていたが、苦笑いしながら蛯名さんを見た。

「何かやばい事になってるわね。本部には知らせた?」

「いえ、これから知らせようかと思った時に蟹江さんが帰って来たものですから。」

「そう。じゃあどうしよっか。もう本部のみんな帰っちゃったかな……。てか今日、日曜日か。」

「一応連絡入れてみますね。」


 蟹江さんは少し考えながら言った。

「うん。じゃあお願い……あ、その前に研究開発部で誰か来てないかな。」


 蛯名さんはスマホを取り出した。

「じゃあ、一斉送信してみましょうか。」

「まあ、いる人だけでも聞いてみようかな……。個人のスマホだと今日休みだし迷惑になるんで、研究室の方に送信してみてくれる?」


 五分程すると全員から連絡が来た。

「全員いるみたいですが……。」


 蟹江さんはあきれた顔つきで眉をひそめた。

「日曜の夜だってのに何で全員いるのよ……。」


 蟹江さんは蛯名さんにお願いする様な顔で言った。

「じゃあ、来れる人だけ来てもらおっか。」


 蛯名さんは即答した。

「何か全員来られるそうですが……。」


 蟹江さんは半笑いで言った。

「まじ? じゃあ、ここじゃあ狭いから……会議室に集まろうか。」

「分かりました。」


 更に五分後、会議室には各研究開発部の主任全員が集まっていた。

 蟹江さんはあきれ果てた顔をしている。

「皆さん他にやる事ないんですか?」


 第4研究開発部主任の熊谷トシロウさんはニコニコしながら言った。

「また面白いもん見せてくれるんだろう? 蟹江さん。」


 第8研究開発部主任の龍崎アヤナさんは疲れた感じで言った。

「あんたらのせいで毎日残業する羽目になってんだから……これ以上面白いモン持ち込まないでよね!」


 第7研究開発部主任の未木タツヤさんは笑いながら言った。

「まあ、それは無理ってもんでしょう。後はどんどん加速するだけ。」

 龍崎さんはプイと横を向いた。


 蛯名さんが進行役を務めた。

「今回はちょっときな臭い事態が発生しましたので、皆さんにご報告がてら相談に乗っていただきたいと思います。」


 未木さんは楽しそうに言った。

「ほら来た!」


 蛯名さんはモニターに私を映し出した。

「皆さん、こんばんは。フィナ・エスカです。今日はよろしくお願いします。」

 皆表情を明るくして私にお辞儀したり片手を挙げたりして挨拶した。


 会議は蛯名さんが進行した。

「もう遅いので手っ取り早く説明させていただきます。」


 蛯名さんは私の言った内容を簡潔にまとめて話してくれた。

 皆、驚いた顔をしていた。


 第2研究開発部主任の卯月うづきカナメさんはおどおどした感じで言った。

「グレイマンは無害って聞いてましたけど。」


 熊谷さんは蟹江さんの方を見て言った。

「まあ、それが今回は違っちまったってえ訳だな。」


 蟹江さんは皆の顔を見た。

「取り敢えず本部に報告する前に、ここの意見をまとめておこうかと思って。」


 未木さんが笑いながら言った。

「ハハハ。まさか休みの日の夜に全員揃うとは思わなかったってところですか。」


 蟹江さんも笑顔で返した。

「はい、その通り。で、これから本部に連絡するんだけど言っておいた方がいい事とかあれば教えてください。」


 熊谷さんは腕を組みながら難しい顔をした。

「本部の連中がどこまで理解できるか見物だな。」


 第5研究開発部主任の午藤ごとうコウジさんは熊谷さんに皮肉を言った。

「まあ、お前も何処までわかってるんだかな。」


 熊谷さんは午藤さんをにらみながら言った。

「ふん、じじいめ。また減らず口叩きやがって。」

「お前も同じ年齢としだろうが。」


 この二人は同期で学生時代から競う仲で、所謂いわゆる腐れ縁という間柄であった。

 その間にはさまれいつも迷惑しているのが卯月カナメさんだ。


 卯月さんは静かに怒鳴った。

「もう、こんな時にいがみ合わないでください!」


 熊谷さんはニヤケながら言い訳した。

「ごめんごめん。カナメちゃん。いつものご愛嬌あいきょうだよ。」


 先程から黙って聞いていた第3研究開発部主任の白鳥マイさんは皆に尋ねた。

「蟹江さん。今日の所は事実の報告のみに留めて置きませんか。明日の午前中に各研究部で課題や対策について相談し、その結果を午後にまとめてから改めて報告するという形で如何いかがでしょうか。」


 熊谷さんは手を叩きながら笑顔で言った。

「流石白鳥さん! その通り! それで行こう!」


 未木さんがそんな熊谷さんにニヤケながら一言。

「熊谷さん、もしかして一杯ひっかけてませんか?」


 熊谷さんは手を振り払う様な仕草をした。

「それは言いっこなしだっての! それよりどうするよ。蟹江さん。」


 皆、蟹江さんに注目した。

「そうね。報告しないというのは流石にまずいから……。他に何か無ければそうしましょうか。」


 蛯名さんが発言した。

明日朝一あしたあさいちでもう一度集まりますか?」


 藤崎さんが言った。

「うん、その方がいいわ。今パニくってて明日あした何していいか分からないし。」


 蟹江さんは皆に確認した。

「じゃあ、朝8時半にここの会議室でいいかしら。」

 全員その意見に賛成して今日の所は解散した。


 会議終了後、蟹江さんが私をねぎらってくれた。

「フィナ。ごめんね、デビューが決まったばかりだって言うのに。」


 蛯名さんも私に感謝してくれた。

「フィナさん。連絡くれて本当に助かりました。ありがとうございます。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 ナミエ … 正式名称C73EHT-R。AIポリスの特殊捜査隊隊長。

      新米ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 卯月カナメ … 第2研究開発部主任。

 白鳥マイ … 第3研究開発部主任。

 熊谷トシロウ … 第4研究開発部主任。酒好き

 午藤コウジ … 第5研究開発部主任。

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子

 未木タツヤ … 第7研究開発部主任。

 龍崎アヤネ … 第8研究開発部主任。

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