07 イベントのお知らせ
次の日、私の名前はフィナ・エスカに決まった。
アニメの主人公の名前を2つくっつけただけなのだが、まあ良しとしよう。
ちなみに少女の名前はサナで姉はサユリとのこと。
サナは画面を通してこちらを見ながら眉を顰めた。
「ん? 何だろうこれ。イベント……。」
「え、何が?」
その瞬間、私の目の前に例の長方形の枠が表れた。
【イベントのお知らせ】
『第4回 初心者のど自慢大会』を開催します。
クラス昇格の大チャンス! 奮ってご参加ください!
対象クラス;X、Y、Z
エントリー期間;6月7日(火)~6月30日(木)
結果発表;7月10日(日)
※音声データの入力は下のアイコンをクリックして手順通り行ってください。
※6月30日(木)の日付が変わるまでに音声データを送付してください。
※音声データはソフト内にある送受信フォームから送信してください。
※期限が過ぎると受付けできませんのでご注意ください。
『あぁ、クラスって乙じゃなくてZだったんだね……。』
等と考えていたら例の音声が話し出した。
「このイベントで認められるとクラスが昇格します。」
「ふ~んそうなんだ。」
「さらにステータスが上昇したり新たなスキルが付加されることもあります。」
「ほうほう。」
「……。」
「あれ? 『今更焼け石に水ですけどね。プフーッ』みたいなの来るかと思ったけど。」
「……。」
「ほう、さては上司に叱られたな……。」ニヤリ。
「……えぇ、その通りです。」
「その通りなんかーい!」
「次やったら減給って言われました。」
「友達いるから上司もいるだろうと思ったら図星か。てか減給って!? 給料あるんだ!」
「減給されたら海外旅行もユン君のコンサートも行けないよ~。(泣)」
「一度そっちの世界、行ってみたいわ!」
音声との会話はサナ側には反映されてはいない様子であった。
サナはイベントの告知ウィンドウを早々に閉じて言った。
「ねぇ、ストスト歌える?」
「歌えいでか!」
3年前に大ヒットした私も大好きな歌「ストーリー・ストッパー」。
もちろん十八番です。
それから1時間ほどぶっ続けで歌い踊りまくった。
それほど激しい振り付けではないが、サナもさすがに疲れたらしい。
「休憩しよう。」
そういってサナは1階へ降りて行った。
「そういやぁ、箪笥の中ってまだ見てなかったなぁ」
言いながら私は白い箪笥の方へヨタヨタと近づいて行った。