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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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68 サナとフィナ

 私は表情を整えると何事もなかったかの様にモニター越しに顔を出した。

 アイドル稼業かぎょうにはこういった即座の転機や切替えも必要だ。

 会話はできんけど……。


 モニターを見まわすと見知らぬ女性が二人。

 この人たちが芸能事務所の方々……。


 私は早速微笑ほほえみをたたえて挨拶をした。

「こんにちは、はじめまして。フィナ・エスカと申します。」

 緊張。 顔、引きってないかな……。


 私を見ると二人はその場に立ってお辞儀をした。

 そして小橋社長は笑顔で私に挨拶した。

「こんにちは。ツイストーラスという芸能事務所の社長をしております。小橋レイナって言います。よろしくお願いします。」


 いで黒木さんも静かに挨拶をした。

「副社長の黒木と申します。どうぞよろしくお願いします。」


 私も笑顔で二人に挨拶を返した。

「こちらこそよろしくお願いします。」


 小橋社長は立ったままつかの間私を見つめてから言った。

「あなたがフィナさんですか。おうわさうかがっております。」


 そう言うとゆっくりと座りながらつぶやいた。

「ああ、ごめんなさいね。まだ驚いちゃいますよ。ファランクスで慣れたと思ったのに……。」


 蟹江さんが笑いながら言った。

「ああ、分かる。私も最初毎回驚いてたもん。」

 え、そうだったんですか? そうは見えなかったけどな……。


 叔父も続いた。

「あっはっは。私なんか二か月前から見てんのに毎回驚いてますよ。」


 小橋社長は大きくうなずいた。

「ああ、やっぱりそうゆうものなんですねえ。」


 そんな時、サナが扉を開けて入って来た。

 サナは初めて見る二人に挨拶した。


「はじめまして。サナです。」

 そう言うとめっちゃ笑顔で姉のとなりにささっと座った。


 小橋社長はサナの方を見て笑顔で挨拶した。

「はじめまして。小橋レイナと言います。芸能事務所の社長をしています。よろしくね。」


 黒木さんもぎこち無い笑顔で挨拶した。

「芸能事務所の黒木ナナって言います。よろしくお願いしますね。」

 サナは笑顔で答えた。


 小橋社長は皆に伺った。

「ちょっと用意したものがあるので、皆さんに少し見ていただきたいんですけど……。」

 黒木さんは鞄からノートパソコンを取り出そうとしていた。


 サユリは気を利かせた。

「もし良かったらテレビモニターと繋ぎますか。フィナにも映像は見えますし。」


 黒木さんはサユリにお礼を言った。

「あ、助かります。よろしいですか。」


 黒木さんが映像を再生すると、そこにはヘッドセットを装着した小橋社長が映っていた。

「これから、我社の仕事をお見せしたいと思います。」


 ソファーに座っている小橋社長は顔をてのひらで隠しながら言った。

「やだ~、変な顔!」


 蟹江さんは手を叩いて笑った。

「あっはっは、いつもこんなもんですよ!」

 小橋社長は蟹江さんを少しにらんだ。


 映像にはファランクスの四人とダンスの打ち合わせをしながら機械を操作している社員たちの姿があった。

 サナはニコニコしながらテレr日を指さした。

「あ、カナデさんだ。この前、うちに来てた時会ったもん。」

 そこにはメーティスのオーナーである星カナデも映っており、何やら大声で指示を出していた。


 次に営業担当の社員が電話で話している風景。

 そこには大地ミノルの姿も映っており、パソコンに向かって何かを打ち込んでいた。

 カメラを向けるとみんな笑顔で手を振ってくれた。


 制作担当の部屋には大きなミキサーなどの機器が並び、春日クルミを含む何人かが一生懸命映像とにらめっこしていた。

「こちら何をしてるんですか?」

 社長の質問に対し女性社員が答えた。

「はい。今、新作のDVDを制作中で~す!」


 映像が終わると小橋社長は言った。

「アルバイトの人もいたから……ちょっと人数多く見えちゃったかしら。」


 蟹江さんが言った。

「今、社員て全部で?」


 黒木さんが答えた。

「今のところ、九名です。」


 小橋社長が照れ笑いを交えて言った。

「まあ、小さい事務所だけどこんな感じでみんな仕事してます。」


 映像をずっと見ていたサナは笑顔で言った。

「これなら大丈夫かも。」

 そう言うと恥ずかしそうに姉の背中とソファーの間に顔を隠した。


 どうやらサナは自分なりに芸能界というものを調べていたらしい。

 確かにネットで芸能事務所を検索すると事件記事などでマイナスイメージが強くなる。

 サナはどうやらそれを心配していた様だ。


 サユリはサナの心中を察した。

「サナはフィナのこと心配してたんだ。」


 サナは姉の背中から顔を出して告白した。

「うん。それもあるけど……。ちょっと寂しくなるかなって。」


 私はサナの気持ちをとても嬉しく感じた。

 そしてボカロにせいを受けて初めて涙を流した。

「サナちゃん、ありがとう。」

 サナはびっくりした顔で私を見つめた。


 私は涙をぬぐいながら思いを告げた。

「あ、これは嬉し泣きだよ。サナちゃんの気持ちが嬉しくて、思わず泣いてしまった……。」


 サナはソファーの上でぐるぐる回転しながら言った。

「泣かなくてもいいのに。」


 サユリはサナにもう一度確認した。

「じゃあ、契約してもいいのね。サナ。」


 サナはソファに座り直し契約書を見た。

「これにサインするんだね……。いいよ。」


 叔父は最後にもう一度確認した。

「それじゃあ、サインするよ。」


 黒木さんは契約書の署名蘭を指さした。

「ここにサインを。」


 無事契約も済み、私は遂に念願のプロ契約を果たした‼

 小橋社長がサナに微笑みかけた。

「サナちゃん、いつでも見学にいらっしゃい。」


 黒木さんもその言葉に合わせた。

「いつでもお待ちしております。」


 サナは姉の方を見て言った。

「じゃあ今度見に行っちゃおうかな。」


 サユリは答えた。

「そうね。ずは夏フェスの舞台から見に行きましょうか。」


 サナはご機嫌な顔をした。

「うん。いいよ!」


 黒木さんはサナたちに素敵な提案をしてくれた。

「もしよろしければ、サナさんのお友だちも連れて来たらどうでしょうか。確か柿月さんの妹さんも……。」


 サナは黒木さんの方を向くと大きな声で言った。

「あ、それヨナちゃんだよ。あ、後ね他に三人いる。」


 黒木さんはそれに答えた。

「では全部で五人ですね。特等席を用意しておきますので是非お友達と来てください。」


 サナは元気よくうなずいた。

「はーい!」

【人物紹介】

 私(フィナ・エスカ)…異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のオーナー】

 本田サユリ … 私のオーナー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のオーナー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【本田家・親族】

 本田トオル … 国際宇宙ステーションの研究者

 本田サエコ … 国際宇宙ステーションの研究者

 三好クレハ … 本田家の家政婦

 本田ススム … サナとサユリの叔父。トオルの弟

 中原トキノスケ … 母方の祖父。本田家の近所に住んでいる

 中原トワ … 母方の祖母。本田家の近所に住んでいる


【サナの友だち】

 山梨ユキナ … サナの友だち。9歳。優しい。母は料理上手。兄にサダオがいる

 栗木ミナ … サナの友だち。9歳。元気。

 桃園マナミ … サナの友だち。9歳。おしゃれ。

 柿月ヨナ … サナの友だち。9歳。物静か。兄のユタカはアテナのオーナー


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … オーナーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … オーナーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … オーナーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … オーナーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 ナミエ … 正式名称C73EHT-R。AIポリスの特殊捜査隊隊長。

      新米ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【株式会社ツイストーラス】芸能事務所

 小橋レイナ … 社長、代表取締役

 黒木ナナ … 副社長。1児の母

 須賀ユウタ … 専務。2児の父。バイク好き

 佐山クロウ … 営業担当。体格がいい

 大村マツリ … 営業担当。ナイスバディ。おしゃれ

 下尾ライト … 制作担当。プラモデルが好き

 竹ヒマリ … 制作担当。イラストがうまい

 栗原ユウヒ … イベント担当。妹と同居。バツ1

 小宮山ネイネ … キャスティング担当。投資家

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