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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
620/621

620 人質救出作戦、始動!

 火柱はトアクの言葉に内心大きく動揺しながらも何とかそのままの姿勢を貫いた。

「な、なんだとーっ! まさかトアクの野郎、この術を見破ったってのか!?」


 すると、それにヘスティアが答えた。

「いやいや、ありゃあはったりだ。グレン、お前は上手くやったぜ。もしあそこであの声に少しでも反応してたらなぁ、少なくともこのハヤブサが人語を理解できるってのがバレてたところさ。」

「な……そんじゃあ、こいつが言葉を心得とるかってのを知るために、わざとあんなこと言って試したってのか? 何て奴じゃ! 危うく引っ掛かるところじゃったわ!」


 水野もそれを聞いてトアクを少しばかりあなどっていたと反省した。

「何て小才の利く奴じゃ……一部の隙も見せられん。思えば私のカラスも完全に怪しまれとったし……鷹匠まで用意していたくらいじゃからのう。ゴギャクの馬鹿っぷりが目ぇ引いてすっかり頭から抜けとった。これも奴の考えか?」


 その後、水野と火柱は合流して皆が穴を広げている現場へと向かった。

 二羽が近くまで行き着くと火柱の父が大きく手を振って迎えた。

「おーい! こっちだぞーい!」


 そこには犬の日土の姿も見られた。

 どうやら見張りの任が解けたのでこちらを手伝いに来てくれたようだ。


 穴は思っていた以上に大きく広がっており大きな梯子はしごも掛けられていた。

 これなら身体の弱っている老人でも降りて来られそうだ。


 水野はその状況を見て皆の頑張りを感じた。

「仕事が早いね。あの小さな穴がこんなにも大きくなるとは。」


 日土はモグラの大地を褒め称えた。

「モグラのカナエちゃんが頑張ってくれたからね。さくさく掘れたわ!」


 するとモグラの大地が土からひょこっと顔を出した。

「モグラってすごいよ。小さい体なのにほんま手が早い!」


 洞窟の中から泥だらけになった金城の父が顔を出した。

「おお、二人とも戻ったか!」


 水野は金城の父が出て来た辺りに降り立つと穴の中を除き見た。

「ああ、中にも梯子を掛けて来た。奴らどうせもうしばらくはあの牢に来ないじゃろう思おてな。ああ、それとな、ここの地はかてぇから百人がかりでも沈みゃしねぇやろ。」


 水野は「カア!」と鳴いて返事をした。

 一方、皆には天女を通して注意喚起した。

「これで人質が抜け出す道筋は通ったね。けど、あのトアクのこと。決して油断はできまいよ。」


 するとカラスから猫のゴンゾウにき変えた金城が返事をした。

「承知! ソウコちゃん大変やったね。」


 水野は村の中のことも気掛かりだった。

「あんがとう。で、そっちはどう?」


 金城は五人衆の状況を報告した。

「タイチロウたちが村の連中に段取りを説いて回っとるとこや。ゴギャクらのおらん間にな。」


 水野はそれを聞いて村の方でも策が順調に進んでいることを知った。

「そう、皆も気張っとうな。ただ、ゴギャクたちも既にこっち向かって馬ぁ走らせとるかもしれんから。気ぃつけてな。じきに帰って来よるで。」


 金城は天女を通じて水野たちが隣の廃村で経験したことを知っていた。

「ああ、特にあのトアクにゃあ用心ってことやな。」


 どうやら金城らも水野が言わんとするところを理解している様子だった。

「うん、ゴギャクを前に出して影ぇうすうしとるがの、裏で何考えとるか分かりゃせん。そんでシノ、そっちはどんな塩梅あんばいじゃ?」


 七人のうち、ただ一人シチヨウに残っていた木陰は自分の現状を伝えた。

「今な、タエさんとハナちゃんもユメノのかかさんの手伝いしとるとこや。そいでな、棟梁らは例の人質の件で話し合うとる。飯の時に聞こう思うたんやけどタエさんがおったけぇよう聞けんかったわ。」


 水野は勘の鋭いタエが人質の件に気付きはしないかと内心気を揉んでいた。

「おおきに。それで、場ぁ何とか繋げられそうかのう?」


 木陰は落ち着いた様子でそれに答えた。

「ああ、これから昼飯の支度もせにゃならんけぇな。ま、やることは山ほどあるわ。……ん?」

「どうしたんじゃ、アヤノ。」

「いやな、ハナちゃんがかわやに行く言うて、タエが一緒に付いて行っただけじゃけぇ。」


 水野はその微笑ましい光景を想像してクスッと笑った。

「そう、それじゃあそっちは任せたわ。何かあったら知らせてな。」

「ああ、そっちも無理せんようにな。皆もやで!」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。


 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【ルンファー】

 南宮なんのみや大学「アイドル研究会」の女性ボーカロイドユニット

 研究会顧問は台場タエコ

 (株)ノアボカロシステム 芸能事務所に所属


 ルンファー … ユメ、アメ、ミン、カヨからなる女性ユニット

        南宮なんのみや大学「アイドル研究会」に所属

        (付属高校二年の時に立ち上げてそのまま続けている)

        マネージャーは月影ユメ、火柱アメ、水野ロウ、木陰カヨ

        また、金城ミア、日土モモ、ミカンの三人も飛び級で大学へ

        研究会顧問は高校の時から引き続き台場タエコ


 ユメ … マネージャーは月影ユメ。ナビは阿弓セレーネ

 アメ … マネージャーは火柱ひばしらアメ。ナビは囲井ヘスティア

 ミン … マネージャーは水野ロウ。ナビは魚住アンフィトリテ

 カヨ … マネージャーは木陰こかげカヨ。ナビは花城フローラ

 ミア … マネージャーは金城きんじょうミア。ナビは宇佐美アフロディーテ

 モモ … マネージャーは日土ひづちモモ。ナビは耕崎ガイア

     GmUのガイア部はガイアの人元をモデルとしている

 サン … マネージャーは日土ひづちミカン。ナビは天童エオス


 月影ユメ(18) … ルンファー(ユメ)のマネージャー。現在夢の中

 火柱アメ(18) … ルンファー(アメ)のマネージャー

 水野ロウ(18) … ルンファー(ミン)のマネージャー、研究会リーダー

 木陰カヨ(19) … ルンファー(カヨ)のマネージャー

 金城ミア(18) … ルンファー(ミア)のマネージャー、飛び級で大学生

 日土モモ(18) … ルンファー(モモ)のマネージャー、飛び級で大学生

 日土ミカン(18) … ルンファー(サン)のマネージャー、飛び級で大学生


【シチヨウの里(500年前)】

 月影ユメノ … 十三歳、月影ユメのご先祖らしい

 火柱グレン … 十三歳、月影ユメノの友だち

 水野ソウコ … 十三歳、月影ユメノの友だち

 木陰シノ … 十三歳、月影ユメノの友だち

 金城ミナヨ … 十二歳、月影ユメノの友だち

 日土フタエ … 十二歳、月影ユメノの友だち

 大地カナエ … 十二歳、月影ユメノの友だち


 月影ヤシチ … ユメノの祖父でシチヨウの里の棟梁とうりょう

 月影ムゲン・ナナ … ユメノの父母、父ムゲンは他界している

 火柱ホノオ・ナツ … グレンの父母

 水野ヒョウガ・シズ … ソウコの父母

 木陰リョウジ・ミネ … シノの父母

 金城ツクリ・シノブ … ミナヨの父母、初めに獣憑けものつきを体験した

 日土ダイロク・スエ … フタエの父母

 大地ヒデミツ・エイ … カナエの父母


【サンガ村(500年前)】

 台場タエ … 次期棟梁とうりょう候補、水野ソウコの文通友だち

 境坂きょうさかロクロウ … 毒殺された前棟梁、ゴギャクやトアクは親戚

 狂坂きょうさかゴギャク … サンガ村を乗っ取り棟梁を名乗る

 狂坂トアク … ゴギャクの叔父で戦の黒幕、元年寄だったが牢に入れられていた


 一坂いちのさかジュウエモン … 元年寄、ロクロウの親友

 山坂ザンシロウ … 元組頭

 赤坂タイチロウ … 赤坂の長男、次期番頭候補

 赤坂ジロウ … 赤坂の次男

 赤坂サブロウ … 赤坂の三男


 一坂トウエモン … 元年寄、ジュウエモンの兄、ゴギャクに殺害された

 ゴンゾウ … ロクロウが飼っていた猫、大柄だが俊敏

 大阪ゲンゾウ … 次期年寄候補、サスケの父

 大阪サスケ … サンガ村を開いたとされる上月こうづき家の末裔

 大阪サスケ … サンガ村を開いたとされる上月こうづき家の末裔

        代々の棟梁を裏で支えていた

 岬のハナコ … 岬近くに住んでいる少女 歌が好き

 岬のハル … 岬近くでハナコと一緒に住んでいる女性、いつも留守にしている

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