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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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06 何だこいつ…

「まぁ、部屋は明るいままで良かった良かった。」

 さっきの暗闇状態は何とか避けられた様だ。


 広さはだいたい12畳といったところか。

 アパートが6畳2間だったから何となく。


 で、先ほどと同様薄い桜色の壁。

 落ち着くわ~。

 モニター機器の他には衣装用かと思われる小さな白い箪笥たんすが1つある。


 そう言えば先ほど感じなかった『重力』だけど、今もって感じられない。

 感じられはしないけど重力があるのは明確であり、箪笥たんすも自身の身体も床の方へ垂直に引っ張られている。

 つまり重みを全く感じていないだけなのだ。


 暗くなっているモニターの前に行ってみる。

「あの子早く帰ってこないかなあ」

 歌いたい気持ちがうずき出す。


「そう言えば『固有スキル』とか言ってたけど何だろう。」

 その呟きに呼応するかの様に音声が響いた。

「固有スキルを確認しますか。」


「はい、お願いします。」

 すると、目の前に1つの長方形の枠が表れた。


【固有スキル】

なし


 ま、そうだよね~。最初からそんなん、あるわけない……。

 しかし……転生したにしてはちと普通過ぎやしませんかねぇ!

「なし」とか……落ち込むわ~。


 そんな時、再び音声が流れ出した。

「固有スキル、なしですか。これは珍しい。」

「ん、どゆ事?」

「普通、初期段階でも固有スキルは1つか2つあるものです。5つあった例も確認されています。」


「なぬ~っ!」

 私が怒ると音声が流れた、と言うより話しかけてきた。


「0って、残念過ぎ……ぷっ。」

「あ! 今笑った!」

「いえ、笑ってません。」

「いやいや、今ぷって笑った。聞いてたもん。」

「いえ、笑ってません。」

「いやいやいやいや。」

「じゃあ笑ったって証拠は? ありませんよね。」


 何て奴だ! だいたいこうゆう音声って口答えするか? てか、嘘ついてまで自己を肯定するか? いなでしょ。いなでしょうよ~っ!


 憤慨する私を尻目に音声は機械的に話し出した。

「指でスライドすると他の情報もみることができます。」

「あ、今のめっちゃ機械的。やればできるじゃん!」嫌味いやみ


「さ~てとぉ。」

 指を左にスライドさせると長方形の枠が3つ表示された。


【プロフィール】

 レベル    …… 1

 クラス    …… Z

 職業     …… アイドル(ソロ)

 職業レベル  …… 1

 身長     …… 158㎝

 体重     …… 46㎏

 スリーサイズ …… 84/55/78

 秘密     …… 秘密


【ステータス】

 歌   …… 表示不可

 ダンス …… 表示不可

 体力  …… 1

 表現力 …… 1

 集中力 …… 0

 運   …… 1


 瞬発力 …… 0

 知識力 …… 表示不可

 決断力 …… 0

 反発力 …… 1

 説得力 …… 0

 掌握力 …… 1

 適応力 …… 1

 発言力 …… 1

 権力  …… 0

 機転  …… 1

 その他 …… 表示不可


【スキル】

 なし




「1って……0って……。」あわわわ……。

 あまりのステータスの低さに呆然ぼうぜんとしていると、いやみな音声がまた話し出した。


「あまりのステータスの低さに呆然ぼうぜんとしている所、大変恐縮ところたいへんきょうしゅくですが……」

「お前、完全にねらってるよね。私のこと……ねらってるよね。」

「数字について解説させていただきます。」


「いや、いい。」

 こいつはきっと言いたいだろうからこう答えてやった。ケケケ。


「チュートリアルですので聞いていただかないとこの先に進むことはできませんが、よろしいでしょうか。」

 ムキーッ! いちいち腹の立つやっちゃ。

 よろしいわけなかろう!


「チュートお願いしま~す。」

 私は不貞腐ふてくされた声でボソッと言った。


「聞こえませんでした。もう一度お願いします。」

「…………!」

 絶句。


「冗談です。絶句するか声を荒げるか友達と賭けてました。」

「何だと~~~! てか、お友達いるの~~~っ!?」

 どうでもいい驚きの連続来た!


「それにしても……これまた珍しいですね。」

 キタコレ!!


「普通、初期状態ではステータスに1から9までの1桁の数字が入ります。」

「はいはい、0はないんでしょ。1も滅多に出ませんよっと。」

「ピンポ~ン! その通りです。」

「おちょくってるよね。あんた。」一応確認。


「平均はだいたい6前後ですからね。1なんてよっぽどですよ、よっぽど。後、何ですか。この『表示不可』って。」

「いや、それは私が聞きたいよ。あんたに答えてもらいたい。てか答えよ。」

「無理言うなよ。この不良品が。いや失礼しました。」

「今、失礼承知で言ったよね。狙いすましたかのように悪意あるタメ口使って来たよね。」


「あ~~!」

「今度はどうしたの。もう余程の事じゃなきゃ驚かんよ。私ぁ。」

「スキルなし、普通のスキルもなし~~~!? ぷっひ~~! あひゃひゃひゃひゃ!」

「また笑った! 躊躇ちゅうちょなく笑った! 今度は誤魔化ごまかされんぞ!」 プンスカ!


「仕様です。ご理解下さい。」

 いきなり機械的に返されても……。


 異世界に来てもアイドルの夢は遠いか。

 まぁ、転生したからってスペックなんかそう変わりはしないよね。

 美人になっただけ良しとしましょう。

「今まで通り地道に行こうぞ。」

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