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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
580/625

580 抜かりない準備こそ勝利の鍵

 火柱は倉庫の道具を眺めながら大きくうなずいた。

「ああ、相当の重量になりそうだからな。何とか運ぶ手立てを考えておかなきゃなんない。」


 木陰はそれを聞いて運搬に必要な道具が必要だと考えた。

巾着きんちゃくじゃないけど、運ぶための何かでっかい平包ひらづつみできるようなもんでもこさえておくか?」

 平包みとは風呂敷みたいなものを結んだりせずくるむだけの包み方を言う。


 水野は木陰の意見に賛同した。

「ああ、それは助かる。けど、形状は運ぶものやけものの体形に合わせなければならないね。」


 ユメノは皆の話を聞いてなげいた。

「うわ~っ、それって一から全部作らなきゃならんのか。結構な重労働じゃなあ……。」


 火柱はにやつきながらユメノを見た。

「ユメノ、何だか張り切った顔しとるなぁ。ほんじゃそっちはユメノに手伝ってもらおうかの。」

「ぎゃっ! グレンがやんなさいよ!」

「うーん、やりたいのはやまやまだけんど私はハヤブサだからねえ。どう考えても運搬役っしょ。あんたはその点うさぎだし。」

「むきーっ! 兎だけじゃないもん! 土鼠つちねずみ(モグラではなく土に住む小ネズミ)にだっていたよ! ちょっと合わなかったけど……。」


 火柱はそれを聞くと驚いたような顔でユメノを見た。

 一方いっぽう大地は土鼠と聞いて顔を崩した。

「ほう、土鼠か。そいつは可愛いのぉ! けど、あっちの村調べるのには使えそうやな。」


 水野は苦笑いしながら意見を述べた。

「まあ、地中を動けるのはいいけど……。あっちの村にゃあ猫もうろついとったし鼠取りもようけ置いてあったからねえ。」


 それを聞いてユメノは青ざめた。

「げっ! 私、下手こいたら猫に襲われてたかもしれない!?」


 火柱は怯えるユメノを見ながら大声で笑った。

「はっはっは! だからみんな土鼠や虫なんかにゃあかなかったんよ! 怖えしな!」


 水野はユメノの肩をトントンと軽く叩いた。

「まあ、それについてはうちの天女、アンフィトリテさんに確認済みではあるんだけどね。仮に動物の姿で死んだとしても人間の身体に戻るだけだって。あれ、言わんかったっけ?」


 火柱は以前にも同じようなことを聞かされたのを思い出した。

「ああ、そう言やあ前にもそんなこと言っとったなぁ。」


 皆は改めて自分の天女にそのことを確認しているようだった。

 セレーネはユメノに語りかけた。

「ごめんなさいね、ユメノさん。ちゃんと説明しておけばよかったわ。けど、あなたの命を危険にさらすようなことは決してないから安心して!」


 ユメノはそれを聞いてほっと溜息をついた。

「そうな、分かった。けど、私も気を付けるようにするよ。死ななくとも痛いことにゃあ変わりあるまい?」


 これらの会話を聞いていた月影ユメは現在行方不明になっているセレーネのことを一人心配した。

「セレーネ……ホント何処どこ行っちゃったんだろう? ……カムバック、私のセレーネ~っ!」


 脳内の上空には巨大なセレーネがキラキラした笑顔でユメを見つめていた、ような気がした。

「きっと何処どこかで生きてる! 私、信じてるから!」


 この後、水野とユメノは棟梁とうりょうたちと共に道具の改良を手伝うことになった。

 棟梁と水野による支持の元、村人総出で忍具の改良にあたり、何とかこの日のうちに大方の目途を立てるまでに至った。


 火柱はハヤブサ、木陰はイノシシ、日土は犬となり物を運ぶ算段を立て始めた。

 ハヤブサは大きな物でも掴んで空輸できるしイノシシであればそこそこの馬力もあるのでこれまた物を運ぶのに都合がよかった。


 また、日土は犬のリーダー格に憑くことで周囲の犬を従えさせることに成功した。

 狼も考えたが何かの失敗で逆にこちらが襲われる可能性もあったのでやめておいた。


 三人は互いの(獣の方の)身体を計測し、それに合った運搬具や固定具を設計した。

 大工の得意な木陰の父に頼んで犬用とイノシシ用の荷車にぐるまをそれぞれ作成してもらった。

 また、母親衆には三人で設計した固定具と丈夫なひもを大量にってもらった。

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。


 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【ルンファー】

 南宮なんのみや大学「アイドル研究会」の女性ボーカロイドユニット

 研究会顧問は台場タエコ

 (株)ノアボカロシステム 芸能事務所に所属


 ルンファー … ユメ、アメ、ミン、カヨからなる女性ユニット

        南宮なんのみや大学「アイドル研究会」に所属

        (付属高校二年の時に立ち上げてそのまま続けている)

        マネージャーは月影ユメ、火柱アメ、水野ロウ、木陰カヨ

        また、金城ミア、日土モモ、ミカンの三人も飛び級で大学へ

        研究会顧問は高校の時から引き続き台場タエコ


 ユメ … マネージャーは月影ユメ。ナビは阿弓セレーネ。現在夢の中

 アメ … マネージャーは火柱ひばしらアメ。ナビは囲井ヘスティア

 ミン … マネージャーは水野ロウ。ナビは魚住アンフィトリテ

 カヨ … マネージャーは木陰こかげカヨ。ナビは花城フローラ

 ミア … マネージャーは金城きんじょうミア。ナビは宇佐美アフロディーテ

 モモ … マネージャーは日土ひづちモモ。ナビは耕崎ガイア

     GmUのガイア部はガイアの人元をモデルとしている

 サン … マネージャーは日土ひづちミカン。ナビは天童エオス


 月影ユメ(18) … ルンファー(ユメ)のマネージャー

 火柱アメ(18) … ルンファー(アメ)のマネージャー

 水野ロウ(18) … ルンファー(ミン)のマネージャー、研究会リーダー

 木陰カヨ(19) … ルンファー(カヨ)のマネージャー

 金城ミア(18) … ルンファー(ミア)のマネージャー、飛び級で大学生

 日土モモ(18) … ルンファー(モモ)のマネージャー、飛び級で大学生

 日土ミカン(18) … ルンファー(サン)のマネージャー、飛び級で大学生


【シチヨウの里(500年前)】

 月影ユメノ … 十三歳の少女、月影ユメのご先祖らしい

 火柱グレン … 十三歳の少女、月影ユメノの友だち

 水野ソウコ … 十三歳の少女、月影ユメノの友だち

 木陰シノ … 十三歳の少女、月影ユメノの友だち

 金城ミナヨ … 十二歳の少女、月影ユメノの友だち

 日土フタエ … 十二歳の少女、月影ユメノの友だち

 大地カナエ … 十二歳の少女、月影ユメノの友だち


 月影ヤシチ … ユメノの祖父でシチヨウの里の棟梁とうりょう


【サンガ村(500年前)】

 台場タエ … 次期棟梁とうりょう候補、水野ソウコの文通友だち

 ゴギャク … サンガ村を乗っ取り棟梁を名乗る

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