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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
570/625

570 ユメの夢のユメノの夢の中

 月影ユメノは日土ひづちフタエから手渡されたそのまりおもむろにタマの近くへと転がした。

 だが、タマはそれを見ながらも無反応だった。


 月影は残念そうな声でフタエにひそひそと話した。

「ああ、ダメか……。何か猫の習性でも残っていれば可愛かったんだけどなー。」


 日土フタエは月影の企てを理解してくすっと笑った。

「今の真面目そうな面しとるタマが毬にじゃれたりしとったら……そらぁ、可愛いっぺや。」


 月影ユメの方も「漫画みたいにはいかないか……」と少し残念がった。

「うーん、あの澄ました顔が崩れて玉にじゃれつく姿が見たかった!」


 さて、金城の父はうまいこと猫の身体から元の身体に戻ることができた。

 今回は二回目とあってかなり思い通り身体を動かせたとのことであった。


 その晩、親方衆は水野を交えて遅くまで作戦会議を開いていた。

 だが、何と言ってもけものけるのが金城一人というのがネックになっていた。


 金城の父は腕を組みながらつぶやくように言った。

「あの天女様がもう一度夢に現れてくれればなぁ。皆も同じようにできるのか聞きたいところなんじゃが……。」


 木陰の父は先程自分にもできないものかと考えて適当な石を拾って試してみたがそれはかなわなかった。

「ああ、それも一つの手だな。だが、夢となれば眠らなければならん。」


 棟梁は一つ大きくびをしながら皆に告げた。

「では今晩はこれでお開きとしよう。まあ、その天女とやらについてはそうそう当てにはできなんだがソウコもいることだしな。どうするかはまた明日決めようではないか。」

 皆はそれぞれの家へと帰り休むことにした。


 月影は既に布団に入ってすやすやと眠っていた。

 月影ユメとしては夢の中で寝るという不思議な感覚であった。

「私、ユメん中でもう一回寝ちゃってるんだよね……しかもユメノとして。これでまた夢とか見たりするのか? あぁう、名まえもユメだからややこしい!」


 月影が夢の中の夢でそんなことを考えていると何やら見たことのない風景が見えて来た。

 どうやらこれはユメノの夢の中の場面らしい。


 目の前には誰かしらの家の門があり、そこから先へ進むと一面の田園風景が太陽に照らされていた。

 そこから更に先へ進むと足元に小さな小川が流れており涼し気な音を響かせていた。


 その時、ユメノは突然後ろを振り返った。

「誰?」


 月影ユメはいきなりの展開に眉をひそめた。

 ど、どうしたの? いきなり……。


 ユメノは周りには誰もいないというのに一人で話し始めた。

「私? あなたは私ではない。私はここにいる。」


 おいおい、何のことよ! 誰と話してんのよ!

 月影はユメノの視界に目をらしたが見えるのは先程門のあった家くらいであった。


 ユメノは見えない誰かとの会話を続けていた。

「ここが夢の中……。ああ、ならいいか。」

 おいおい、いいのかよ!

「けど、何? その命の元みたいなのって。よく分からない。」

 ああ、何を話してるのよ! ってか誰と話してんのよ! 私にも相手の声を聞かせて!


 月影が強くそう念じるとユメノの記憶としてその会話が頭の中に入って来た……ような気がした。

 会話の内容は次の通りだ。


見えない人「月影ユメノさんですね?」

ユメノ「誰?」

見えない人「私はあなた。あなたと私は人元……命の元みたいな場所を共有する者です。」

ユメノ「私? あなたは私ではない。私はここにいる。」

見えない人「ごめんなさい、分かりにくかったですね。そう……ず一つ、ここはあなたの夢の中です。」

ユメノ「ここが夢の中……。ああ、ならいいか。」

見えない人「ご理解くださりありがとうございます。」

ユメノ「けど、何? その命の元みたいなのって。よく分からない。」


 月影は会話の内容が判明したことに胸を撫で下ろした。

 ふう、危うく置いてけぼりくらうとこだったよ……。

 うーん、けどこの声と話し方……何処どこかで聞いたことあるような……。

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。


 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【ルンファー】

 南宮なんのみや大学「アイドル研究会」の女性ボーカロイドユニット

 研究会顧問は台場タエコ

 (株)ノアボカロシステム 芸能事務所に所属


 ルンファー … ユメ、アメ、ミン、カヨからなる女性ユニット

        南宮なんのみや大学「アイドル研究会」に所属

        (付属高校二年の時に立ち上げてそのまま続けている)

        マネージャーは月影ユメ、火柱アメ、水野ロウ、木陰カヨ

        また、金城ミア、日土モモ、ミカンの三人も飛び級で大学へ

        研究会顧問は高校の時から引き続き台場タエコ


 ユメ … マネージャーは月影ユメ。ナビは阿弓セレーネ

 アメ … マネージャーは火柱ひばしらアメ。ナビは囲井ヘスティア

 ミン … マネージャーは水野ロウ。ナビは魚住アンフィトリテ

 カヨ … マネージャーは木陰こかげカヨ。ナビは花城フローラ

 ミア … マネージャーは金城きんじょうミア。ナビは宇佐美アフロディーテ

 モモ … マネージャーは日土ひづちモモ。ナビは耕崎ガイア

     GmUのガイア部はガイアの人元をモデルとしている

 サン … マネージャーは日土ひづちミカン。ナビは天童エオス


 月影ユメ(18) … ルンファー(ユメ)のマネージャー

 火柱アメ(18) … ルンファー(アメ)のマネージャー

 水野ロウ(18) … ルンファー(ミン)のマネージャー、研究会リーダー

 木陰カヨ(19) … ルンファー(カヨ)のマネージャー

 金城ミア(18) … ルンファー(ミア)のマネージャー、飛び級で大学生

 日土モモ(18) … ルンファー(モモ)のマネージャー、飛び級で大学生

 日土ミカン(18) … ルンファー(サン)のマネージャー、飛び級で大学生


【シチヨウの里】

 月影ユメノ … 十三歳の少女、月影ユメのご先祖らしい

 火柱グレン … 十三歳の少女、月影ユメノの友だち

 水野ソウコ … 十三歳の少女、月影ユメノの友だち

 木陰シノ … 十三歳の少女、月影ユメノの友だち

 金城ミナヨ … 十二歳の少女、月影ユメノの友だち

 日土フタエ … 十二歳の少女、月影ユメノの友だち

 大地カナエ … 十二歳の少女、月影ユメノの友だち


 月影ヤシチ … ユメノの祖父でシチヨウの里の棟梁とうりょう


【サンガ村】

 台場タエ … 次期棟梁とうりょう候補、水野ソウコの文通友だち

 ゴギャク … サンガ村を乗っ取り棟梁を名乗る

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