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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
558/625

558 映像の中の記憶

 水野はユメタンに順を追って質問していった。

「セレーネたちが消えたところを見たんだよね。どんな感じだった。」


 ユメタンはZ組の知恵を拝借することにした。

「言葉で説明するのは難しいので映像を使ってもいいですか?」


 水野はいきなり出て来たその「映像」の話に何故か警戒心を持った。

「映像……そんなものがあるの? 誰の映像だろう。」


 ユメタンはその質問に対し素直に答えた。

「Z組の人が私の記憶を映像化してくれたんです。今からそれを見てもらってもいいですか?」


 水野はユメタンの映像を見ることで再び出て来たそのZ組についての情報もつかめるかもしれないと考えた。

「……うん、是非見せて欲しいな。」


 ユメタンはZ組が映像化した自分の記憶をモニターに映し出した。

 月影はそれを見て何故か感動していた。

「ユメタン……こんなことまでできるようになったんだね! 私は嬉しいよ!」


 よくよく考えてみれば一介のボーカロイドがこのようなことまでできてしまうのは常軌をいっしていた。

 だが、七天使しちてんしとして活動しているうちにユメタンたちも大きく成長を遂げていたのだ。


 そういった視点から見れば月影の何だかトンチンカンな感動もある意味うなずけるものはあった。

 だが、やはり何かしら違和感を感じた他のマネージャーたちはただ顔を見合わせるにとどめた。


 と言うより今はそれどころではないのだ。

 この時他のメンバーは同じようなことを思っていた。

 何なのだこのユメタンのお話は!

 ユメタン、遂にバグったか? などと。


 だがもしこの話が真実であるならば、考えられることはただ一つ。

 それはミュラノスの攻勢……!


 金城はここでえて身バレという言葉を口に出さなかった。

 もし皆がそれに気付いていないのであれば変に恐怖心をあおる必要もないし何より自分自身それを口に出すのが怖かったのだ。


 だがそれに気付いていないのは月影と、妹に比べてややおっとりしている日土モモの二人だけだった。 

 ユメタンが動画を流し始めると、今度は日土モモが感慨深気かんがいぶかげにモニターの中のナビゲーターたちを見つめた。

「こうやって七人のナビゲーターが全員で集まっているところ、私、初めて見るかも!」


 月影は目を見開いてモニターを凝視した。

「あ、本当だ! 何か感動するね!」

 他の四人は「いやいや、それどころじゃないでしょう」と思いながらも「言われてみればそうかも……」と改めて七人を見るのであった。


 七人のナビゲーターたちは一人ずつその場に座り込み、やがて全員が眠りにいてしまった。

 と、ここまでは予想通りの展開であった。


 セレーネたちの会話から水野は自分の勘が当たっていたことに一人うなずいた。。

「やはりファランクスの影響だったみたいだね。この会話からするとファランクスもセレーネたちと同様の存在である可能性が高いようだ。」


 日土ミカンはその意見にうなずきながらも自分の推察したことを述べた。

「共鳴、またはこれが切っ掛けとなってセレーネたちの記憶が戻るよう仕向けられていたってことでしょうか。」


 水野はその推察について尋ねた。

「仕向けられた……つまり最初からこうなることが予定されてたってこと?」


 日土ミカンは更に推察を深めた。

「さっきユメタンが言ってた別の場所ってのもそれに関係しているんじゃないでしょうか。」


 水野は「成程……」とつぶやいた。

 そして、ミカンの洞察力に感心しながらもそのことについて自分なりに考えてみた。


 するとその時、日土モモが「あ!」と叫んだ。

 モニターの中に倒れ込んでいる七人のうちの一人がむくっと起き上がったのだ。


 日土モモはそれを見た途端何とも言えない気持ちになった。

「ガイア……何で一人だけ? もう記憶が戻ったのかな……けど……何だあれ、黒いきり?」


 だが、この後のガイアの行動には皆が我が目を疑った。

 日土モモは涙目になってガイアを擁護ようごした。

「あれは何かの間違いよ。ガイアが仲間を裏切るはずがないもん!」

 日土ミカンは姉の肩をさすって励ました。

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